地上波TVで観ました。

題名:『グリーンブック』(Green Book) 2018年米国映画

脚本:ニック・ヴァレロンガ

監督:ピーター・ファレリー

出演:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ

 

4年前に飛行機内でも観ました。2回目ですが、素晴らしかった。実話をベースとした映画です。1962年、天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーという男がいた。ホワイトハウスにも2回招かれて、演奏している。彼が南部に演奏旅行に行くにあたって、イタリア系の運転手ヴァレロンガ(もとナイトクラブの用心棒)を雇う。ヴァレロンガは大食いで無教養、ハッタリかますのが上手く、腕っぷしも強い。心は熱く、愛する妻子がいる。

 

2か月のツアーにでかける。チェロとコントラバスとのトリオだ。チェロとコントラバスの二人は白人で(一人はロシア人)で、彼らは別の車で移動する。時は、ジム・クロウ法の真っ只中。ジム・クロウ法とは、1876年から1964年まで存在していた米国南部の黒人差別を含む法律の総称。黒人が使えないレストラン、トイレ、ホテルなどがたくさんあった。だから、黒人のために、黒人専用の施設のガイドブックあって、それが「グリーン・ブック」だった。

 

 

天才ピアニストとして、VIP扱いで招かれても、ピアノの演奏を終えて、舞台を降りたら、彼はただの「黒人」だった。彼は同性愛者でもあった。常に孤独感溢れるドクター・シャーリー。南部の街で、夜、1人で飲み屋に行ったら、周囲の白人たちに袋叩きに合う彼。

 


 

 

最初は「クロンボの運転手か」と思っていたヴァレロンガだが、次第に彼のピアノの才能に魅了され、かつ、彼の知性や品位に敬意を示すようになる。

ガサツで腕っぷしが強いヴァレロンガの、温かさに、ドクター・シャーリーも魅了されて行き、二人の間に友情が芽生えてくる。

 

ヴァレロンガだって、「イタ公」などと侮蔑な言葉を言われ、頭にくる。

 

 

 

 

クラシックのピアノしか演奏しない彼だったが、ある日、黒人だらけのB級のお店で、ノリノリのピアノを皆の演奏に合わせて弾いて、かつてないほどの喜びに溢れる。

 

 

 

 

クリスマス・イブの夜に間に合うように雪の中を二人の車は走って行く。エンディングがまた、素晴らしい。久しぶりに涙が出ました。

 

実在したドクター・シャーリー。

 

そして、運転手をやったトニー・ヴァレロンガと奥さんのドロレス。

ニューヨークのナイトクラブ・コパを経営した。

 

 

トニーもシャーリーも、その後も友情を保ち、2013年に亡くなりました。

この映画の脚本家ニック・ヴァレロンガは、この映画のモデルのトニー・ヴァレロンガの息子です。

 

 

 

この映画で白人のトニーが、黒人のシャーリーを助ける場面が何度かあるのですが、それを批判的に「白人の救世主」white saviorと言うらしい。白人の救世主は、メシア的な存在として描かれ、救出の過程で自分自身についても何かを学んでいく。ある種、ステレオタイプ(紋切型)であり、白人はそれを観ていい気分になるし、黒人もそういう白人を観て、好感を抱く。

 

なかなか難しいです。

 

私は黄色人種ですが、素直に感動しました。