昔、ジョージ秋山(1943-2020)という漫画家の「銭ゲバ」(1970)というすごい漫画がありました。彼が37歳の時の作品。その後、「アシュラ」なんてすごいのも書いた。
私が社会人になったのは1982年くらいだったか。当時、銀行の預金利息は高くて、定期預金ならば6~7%くらいあった。だから、もし、1億円の宝くじが当たって、定期預金に預けたら、毎年600-700万円の利息がついてくる。それだけで暮らせる。なんて、儚い夢を持っていたものです。
最初に勤めた会社に、Kさんという34歳くらいの「オールドミス」の女性がいた。当時は、30歳過ぎて独身ならば、「オールドミス」と言われたものです。その彼女は、実に真面目で、質素で、貯蓄が趣味でした。私は経理部にいて、当時、よく銀行員が預金を集めに来たりしたのですが、そうするとKさんがお金と通帳を持ってやってきて、
「お金って貯まるものねぇ。利息が100万円もついちゃった」
などと言っているのを聞いたことがあります。
彼女は預金通帳の残高が増えるのを見るのが何よりも楽しみだった。
今は昔の話です。それからあっという間に金利は下がり、いつの間にやら定期預金の利息は0.002%とか。0.002%って・・・奥さん、1000万円の預金で年間いくら利息がつくかわかりますか?
200円ですよ、200円!
30年、40年たつと世の中、全く違う世界になってしまう。
金利が下がってからは、土地と株価がどんどんと上げりました。
1991年あたりのバブル崩壊まで。
それから長~いデフレがやってきました。
平成はずっとデフレでしたね。不景気だった。
この30年、日経新聞を読むといつも気分が暗くなった。
それでも自分の仕事だけは結構順調だったんですけどね。
パソコンの普及とか光通信とかでそれなりに経済は回復した。
だけど2001年にITバブル崩壊。これは痛かった。
1989年に39000円まで上昇した東京株式市場の日経平均は、
民主党政権の時には7000円まで下落した。
(この頃、長男の大学費用が大変だった)
その後、2012年大ウソつきの第二次安倍政権になってからは
ぐんぐん回復して、20000円突破、退陣するころ(2020年)には、
一旦落ちて、菅政権でまた上がったけど、このところのコロナ疲れで
冴えなかった。
それが、菅総理の退陣表明をしてから三連騰。
その後1日下げて、今日また上げている。
30000円を突破している
私と同じような人はきっといると思うのだけど、
株価が上がった時に株価をチェックすると、とても気分がいい。
悪い時は見ない。
私はエクセルで表にしている。
この数日、ルンルン気分で数字を打ち換えている。
あのときの「オールドミス」と同じだ。
私レベルの投資額でもこの1年間で相当の利益を上げているのだから
お金持ちの株式投資家はすごいと思いますよ。
状況はいろいろと変わっても、人間は銭ゲバなのかもしれない。
お金は重要だ。
しかし、誰かを殺してでもお金が欲しいなんてことはない。
銭のためならなんでもする、ということはない。
ジョージ秋山も晩年は全然違う作風になった。この主人公は、働く気など全然見せず、お金になんか頓着しない。「お姉ちゃん、あちきと一緒に遊ばない?」というのが口癖の遊び人。だけど実はすごく剣の腕が立つ。涼しい顔をして悪をやっつける。そして、奥さんが素晴らしい。達観した理想の男性像を描こうとしたのかもしれない。
私なんか、株で計算上の資産が増えて喜びながらも、いつ暴落するかドキドキだ。使おうと思えば、結構使えるお金はあるけれど、ケチって使わない。とてもじゃないけど、人生を達観などできない。そもそも何も極めていないし。
それでも、株価が上がると、この青空のような気分になります。
Cloud nine?
今日の関東地方はいい天気です。
家で仕事をしているのがもったいない。
ジョージ秋山が昨年亡くなったということを知らなかった。77歳か。
私の余生も長くはないと考えると、だらだらしてられませんね。
なんだか、人生最後のモラトリアみたい。