いっぽう、第二子は9月から高校の勉強を始めたばかりだ。模試を受けているが、高2対象の模試なので、まるで歯が立たない。難関大学志望の受験生は、遅くとも高2の秋には受験を意識した態勢となるだろう。でないと、現役合格は厳しいはずだ。

高2で模試をうける人はある程度以上の偏差値の大学を志望する割合がとても高いだろう。受験を意識せずに高2の模試を受けることは考えづらい。

第二子は高2年齢だが1年半遅れているので、高校生になり立ての子が受験生と勝負していることになる。とくに数学は、数学1Aを始めたばかりなのに数学2Bまでが出題されるので、壊滅的な成績だ。ただこれは数学が苦手とかわからないとかではなくて、まだそこまで習得していないだけのことで、伸び代はおおいにある。

高校の勉強を始めてまもないころ、高卒認定をうけて、合格した。受験資格をゲットした。

第一子が共通テスト本番の日、第二子は東進予備校が行う本番模試を受けた。共通テストの問題が公表されてから同じ問題をつかって会場で模試を行う。だから、本番より数時間遅れての実施になる。第二子が高校の勉強を始めて4カ月なので、高校1年生が夏休みに共通テストをやってみた、という状況になる。当然ながら、この点数ではどの国立大学も通らない。

ここから「ものすごい勢いで伸びる」のかどうか。本人、ちょっとノンビリしすぎているかも。

さて、第一子は京大二次試験の当日が近づいた。

京大のすぐ近くで、Airbnbで、一軒家をまるごと借りた。京大まで歩いてすぐのところ。私には庭のような感じで土地勘があるので、やりやすい。前日に、第一子本人、ママ、第二子が3人で泊まった。すぐ近くにスーパーがあるので便利だ。

その日、私が自動車で送っていき、私はそのまま童仙房へ帰ったが、第一子は会場下見をする。京大付近は下見に来る受験生で異様な雰囲気だ。

翌日、受験本番。

第二子を泊まらせた理由は、受験当日の様子を見て、模試との違いを感じて欲しいからだ。

夕方、私は自動車でママと第二子を迎えに行った。

第一子は悲壮感漂っていた。初日ですでに、まるで歯が立たないことを感じていた。とくに数学。受験を甘く見ていたことを痛感しただろう。でも、2日目がある。逆転合格は不可能だが、来年へ道筋をつけるべきだ。結果にかかわらず、ベストを尽くせ。

第二子は、午後ずっと宿で勉強していたそうだ。「あちこち行かなかったのか?」と問うた。

受験本番、会場へ入っていく受験生を見て、「死闘だ」と感じたそうだ。模試とはまるで世界が違う、と。自分のぬるさ加減を知ったのだ。哲学の道を少し歩いて宿へ戻ってきて、勉強せずにいられなくなったそうだ。

2人とも、ようやくわかったか。これからが本番だ。今まではプロローグだったのだ。

2日目の試験が終わって、第一子は家に帰るや、来年へのリベンジを口にした。合格発表を待つまでもない。

第二子も、いままでのようなユルい勉強ではダメだと理解した。

2021年2月26日(京大二次試験2日目)の夜、2人は再起動である。

基礎がどれほど大切か、ということも身にしみて理解した。ここにきて、私がコーチング可能となった。本人のマインドが熟さないうちはアドバイスもきかない。親が受験をさせるのではない。本人がやりたいと志願したのだ。やめたければやめればよい。とはいっても、2人とも、やめる気などさらさらないようだ。ならばよい。死ぬ気で頑張れ。第二子が感じたとおり、死闘なのだ。

来年、結果が出せるように、年間のスケジュールを本人と相談した。1年スパンの大スケジュール、3カ月程度を1クールとした中スケジュール、日々の小スケジュール。1年の前半はとことん、基礎に当てる。とくに英語、数学、古典。英語は文法から徹底的にやり直す。数学は基本問題を完璧にマスターする。古典も文法からだ。受験レベルの問題はその後だ。

第二子も同様だが、来年の受験は高3年齢で現役生となる。しかし、高校の勉強を始めて1年半しかない。これで合格しようとしたら、基礎をおろそかにしかねない。基礎に1年かかってもかまわない。浪人を避けたいなら難関大学はやめておけ。

5月に、京大から第一子の成績開示が届いた。英語、数学は合格ラインに遙か遠い。日本史も足りない。が、国語は合格ラインに達していたと言っていい。古典はあまりできなかったそうなので、現代文がかなりできたということになる。

現代文は、レベルの高い参考書がない。詩や和歌のような韻文を除いて、散文には小説、論説文、ノンフィクション、随筆などのジャンルがある。読解が最も難しいのは随筆だ。随筆を要約する練習をする。随筆集を購入して、テキストとして使う。要約文は私がチェックし、コメントする。毎日はできなくとも、できるだけやっていこう。大量の書き写しで堅固な土台はできるし、ある程度までの読解力はしぜんと備わる。京大を除けば難関大学の国語に対応できるだろう。それ以上に高度な読解力を身につけたければ要約練習が良い。随筆の要約は、ほんとうに難しい。だからこそ、やっていこう。高度な読解力は、英文和訳、英作、数学などにも生きる。

半年間の準備運動の後、3月から本格的に受験生としてスタートした。

が、ものごとは、そうは順調に進まない。

 

 

第一子は京大を受けたいとのことで、秋からZ会の通信添削(京大コース)を始めた。京大の二次試験に似せた課題なので、自分の実力を判断することもできる。

偏差値の高い大学ほど、英語と数学が偏差値に比例して難しくなり、大きな差がつく。受験にたずさわる方なら異論はないのではないか。偏差値50ぐらいの受験生なら、偏差値50ぐらいの大学の問題はそれなりに対応できるが、京大の問題に挑戦したら英語と数学は手も足も出ないだろう。数学はほぼ0点近くではないか。英語も0点に接近した点数になるだろう。合格者は総点で6割ぐらいとるので、英語と数学は非常に大きな差となる。

第一子もそんな状態だった。

差がつく原因は基礎の徹底度合による。国立大学なら、東大、京大といえど、教科書の範囲から出題される。難しく感じるのは、いくつかの基礎事項が組み合わさったり、変形したりという問題が出るので戸惑うだけだ。それを応用、発展という。応用や発展は、あくまでも基礎の延長上にある。なにか特別なことをやらなければならないかのように思い込んでいる人が見られるが、第一子もその典型例だ。

そういう特殊なものとして京大をみなす視点が、学歴信仰につながるのかも知れない。よくない兆しだ。

親ならなんとかしてやれよ、ってか?

何とかしてやりたいのは山々∩∩∩だけど、いちばん大事なのは大学合格ではなく、人生なんだ。先にも言ったとおり。

人生をより良く生きる方へ向かうなら、あえて受験に失敗するのも良いではないか。基礎が大切だし、まずは基礎をやるべきだといちおう、アドバイスはする。放置ではない。

本人がそのアドバイスをうけてどう考えるか、が大事なんだ。

第一子は、基礎を無視した。すると、やれどもやれども京大レベルには歯が立たない。はるかなE判定が常態化して、慣れっこになってしまった。

そのかたわらで、共通テスト対策として、理科や社会も進めた。

12月中旬からは、共通テストに照準をしぼる。予想問題をたくさんこなした。京大記述問題よりは、まともにできている。

1月の共通テスト本番は、前日からビジネスホテルに泊まった。まさか親は付き添わない。一人で全部に対応する。

自己採点の結果は、驚いた。予想よりうんとまともだ。京大レベルには届いていないが、難関国立大学を受けてもいい程度の点数だ。

第一子の志望校は京都大学総合人間学部だ。受験科目が少々特殊だ。共通テストは、理科と社会のみ合否判定に使う。じゃあ英数国は受けなくてもいいやんか、とはならない。英数国を含めた共通テスト総合点は足きりに使う。共通テストの英数国を捨ててかかると足きりにひっかかってしまうので、合否判定に関係ないのに英数国も頑張らないといけない。そのうえ、足きりラインは非常に高い。

とはいっても、京大の二次試験で合格ラインを突破できる力があれば、何もしなくても共通テストの英数国は高得点がとれるはずだ。一次ができても二次ができるとはかぎらないが、二次ができれば一次はできる。

総合人間学部(文系)の二次試験は、英語と数学の配点が高いので、英数が苦手だと通りようがない。第一子は、はなから通りようがないわけだ。

第一子は、京大と言わなければ国立大学で通用する程度に基礎はあるようだ。だから、共通テストはわりと点が取れる。そのなかでも理科と社会はかなり高得点だった。すると、共通テスト後の判定で、京都大学総合人間学部がなんとB判定になった。はるかなE判定常連が、いきなりB判定だ。英数国を除外して理科と社会だけで判定するからそうなる。なにはともあれ、びっくりだ。二次試験では絶対通らないけど。

共通テストが終われば、怖いのは足きりだ。出願者が3.5倍を超えたので、足きりが行われる。ラインが高いので、切られるかも知れない。

そもそも足きりの心配をしないといけないような点数では絶対に合格はしない。ただ、ここまで来たのなら、会場で二次試験を受けることができれば来年に向けて大いなるステップになる。

本人は、二次試験に向けて、過去問をやっている。

うちの子は国語はかなり得意なはずだが、京大の現代文は超難解だ。現代文読解の手助けをすることにした。英語や数学は独学でできる。京大の現代文読解は独学でやろうにも、あのレベルの参考書が存在しない。

読解とは、行間を読むとか、テクニックを駆使するとかではない。いかに素直になれるかに尽きる。書いてあることは全部読む。書かれていないことは読まない。これだけだ。これが大変難しい。書いてあることを読み落としたり、書かれていないことを読んだりするのだ。京大の過去問をつかって、毎日この練習をした。その際には第二子もいっしょに取り組んだ。もともと国語はよくできるので、だんだん読解レベルがあがってきた。

そうこうするうち、京都大学から受験票が届いた。第一段階選抜に合格したのだ。京都大学に合格したのではない。足きりラインを突破したということだ。わが家で、まるで本試験に合格したかのように大騒ぎしたのは恥ずかしいから誰にも言わないでだまっとこ。

二次試験の本番がついにやってきた。40年前は私が当事者だった。こんどは親の立場だ。まさか自分の子どもが京大を受けることになるなんて、思いもしなかった。40年前には、一人で旅館に泊まり、二次試験を受けた。進学校や予備校は団体で受験しに来ていて、すごい迫力に圧倒された。こちらは一匹狼。試験会場では震えがとまらない受験生が何人かいた。かぼちゃ畑にいるのだと言い聞かせていると、ほんとうにかぼちゃ畑に見えてきた。模試ではずっとA判定だったのだから落ちるはずはない、と自己暗示をかけた。模試の成績が芳しくなかったら平静を保てなかったかもしれない。

第一子は結果は期待できないが、大事なのはそこではない。すごいプレッシャーの中で、精一杯やってみろ。どうなろうとも命を落とすことはない。どーんといったれ!

 

 

 

2020年9月から、第一子と第二子がほぼ同じ時期に受験勉強を始めた。2人とも完全ホームスクーリングであるだけでなく、かなり変則的である。

第一子は小学校の間、ほとんど勉強しなかった。小6から小学生の勉強を始め、中1の12月から中学生の勉強を始め、高1年齢の4月から高校の勉強を始め、理科基礎全部、社会全部を含め、ひととおり高3年齢の3月までに学習を終えた。それなりに理解しているとは思うが、定期テストもなにもないので、アバウトであいまいだろう。高3年齢の3月で勉強に区切りをつけて、そこから1年半、高校内容の勉強はせずに、仕事をしていた。1年半のブランクがある。

第二子は、中1まで順調に勉強してきたが、中1の12月ごろから高2年齢の8月まで、ほぼ勉強していない。中学の勉強はなんとかかんとか、そこそこまでやったようだが、高校の勉強は皆無だ。高校3年間を考えたとき、ちょうど中間地点から高校の勉強を開始することになる。

2人とも、難関国立大学志望だが、国立となると共通テストで全科目やらないといけない。現時点ではとうてい難関国立大学志望と公言できる状況ではない。

ただ、2人とも、強固な土台がある。大量の昔話の読み聞かせ、大量の読書、大量の書き写しだ。どんな高校生と比べても負けないだろう。これは大きな財産だ。受験において、生かせるかどうか。未知の領域だ。このような土台をもって、完全独学で、難関国立大学に合格した人はいないだろう。参考にできる事例が存在しない。道なき道を行くのみ。

常識的には、この2人の状況で1浪以内で志望校合格はあり得ないだろう。国立大学じたいが難しいだろう。

第二子は、受験勉強といったって、そもそも高校の勉強をイチから始めるのだ。高1の1学期からだ。現役合格するには、1年半の内に高校の勉強をイチからマスターして受験レベルに引き上げないといけない。どう考えても無理だ。1浪しても、2年半でチャレンジすることになる。現役高校生よりも短い期間だ。

ホームスクーリングから大学受験をするには、まず高卒認定試験に合格しないといけない。第一子は高卒1年目ですでに合格している。第二子は今年取得するべきだ。高卒認定対策も頭に入れておかないといけない。

2人とも、英検2級はもっている。2級と言えば、高校卒業程度だ。センター試験英語の6割ぐらいに相当するらしい。英語に関しては、そこそこのスタートラインには立っている。

幼い頃から、国語はよくできた。読み書きの強力な土台があるので、当たり前すぎるほど当たり前だ。

京大の二次試験は文系の場合、英語(長文和訳と英作文)、数学(5問)、国語(現代文2題、古文1題)、社会だが、最も難しいのは現代文だと思う。それ以外の英語、数学、社会、古文は、勉強すれば、まあできるようになる。現代文ははてしなく難しい。あれを高校生に要求するのは過酷だ。

うちの子なら、現代文以外は独学でやっていけるはずだ。誰からも指導をうけなくてもいい。現代文は困難かも知れない。独学のスキルを身につけるために、親が勉強を教えることは避けてきたが、現代文読解は指導が必要かもしれない。様子を見て考えよう。

第二子は高2年齢の夏に、高校の履修内容のイロハのイから始めた。とくに数学は「オイオイ (^_^;)\(・_・)  」という状態だ。

第一子は、高校内容の勉強は終えているはずだが、基礎がきっちり身についているとは思えない。半年で京大に合格するなどどだい無理な話なのだが、本人はその気らしい。

基礎をやり直した方がいいのではないかとアドバイスをしたが、「今、基礎をやっていたら京大の問題が解けない」と言って、京大対策の参考書・問題集をやろうとする。

私はアドバイスはするが、強引な指導はしない。あくまでも本人の意思を第一にする。受験の半年前に基礎を始めたら、そりゃ合格は無理だ。けれども、基礎をすっ飛ばして京大レベルに到達しようというのはもっと無理だ。でもまあいい。思うようにやってみな。

9月から、2人とも、模試を受けた。それはもう、ひどい成績だった。

模試は志望校の合格可能性を判定してくれる。どの予備校の模試でもたいがい5段階評価で、おおむね、A判定(80%以上)、B判定(60~80%未満)、C判定(40~60%未満)、D判定(20~40%未満)、E判定(20%未満)となっている。C判定で五分五分、A判定なら合格が期待でき、E判定なら受けても無駄、といったところ。よくいわれるが、京大はC判定でも合格は困難、A判定でもふつうに落ちる。

2人の判定はとうぜんE判定なのだが、それもはるかかなたにかすんでしまうようなE判定なのだ。当たり前すぎる結果なのだが。

模試の判定の仕組みは、40年前も同じだった。私は高3の5月から模試を受け始めたが、E判定は一度もない。5月に最初に受けた模試がD判定で、絶望に近いほど大きなショックを受けた。D判定はその1度きりだ。夏以降はC判定すらない。秋にはすべてA判定だった。

その感覚で見ると、第一子も第二子もどうにもならない。D判定ですらあれほどショックを受けた(今も覚えている)のに、E判定、それもはるかかなたのE判定だから、本気で合格を目指すつもりなら、再起不能なほど落ち込みそうだ。でも、第一子も第二子もケロッとしている。

ただ、中堅私立大学なら、第二子でもB判定がついた。英語と国語だけで受けられるなら、高校の勉強を始めたばかりの今でも合格できる力があるということか。

第一子は一部の国立大学でB判定だ。まあなんとか高校の勉強がものになっていないこともないようだ。ただ、京大を視野に入れるなら、基礎がぜんぜん足りていない。模試の成績で一目瞭然だった。

第二子は、某予備校の模試で、難関国立大学を志望校に書いたら、チューターさんに鼻先でせせら笑われたそうだ。そりゃそうだろう、誰が見てもそうだ。表情に出すのはいただけないが。それでも第二子はその場で言い返したそうだ。「ものすごい勢いで伸びるから大丈夫です」とな。ほぉ~~!