計算可能な実数と定義可能な実数1 | いろいろです

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なんつうか

本人にとってはメモ書きみたいなもんっす

今まで現れてきた数は有限小数列により近似が出来、この近似の小数は「小数第k桁が計算で確定出来る」という性質がありました。
そこで、逆に「計算で確定出来る有限小数列」を与え、その小数列を与える「具体的な関数」を「数」とみなしてしまうという考えが生まれます。
このような「小数第k桁目までを与える具体的関数」で定まる数を計算可能実数と言います。

もう少し正確に言うと、有限小数に対応する有理数は整数と正の整数のペアであり、整数は自然数のペアですから、有理数は自然数3つ組に対応し、これを自然数と1対1に対応させれば、1つの自然数とみなすこともできます。その自然数を再帰的関数により与え、それにより対応で定まる有限小数列x(s)が再帰的な関数α(n)により
s,t>α(n)→|x(s)-x(t)|<1/10^n
を満たすようにできる時に、その有限小数列(の元になる自然数を与える再帰的関数)を計算可能実数と呼ぶ事にします(正確には同値関係x(s)~y(s)←→∃β(n)(s>β(n)→|x(s)-y(s)|<1/10^n)(βは再帰的関数)で割る)。
計算可能実数には小数列から誘導される四則や大小比較が定義でき、代数的実数は全て計算可能実数になります。また円周率πや自然対数の底eも計算可能実数になりますが、ともに代数的実数にならない事が証明出来るので、計算可能実数の集合は代数的実数体を真に含む集合です。
代数的でない実数を超越数と言います。πやeは計算可能な超越数です。
計算を定義する式は有限長の記号列なので、その集合は可算です。つまり計算可能実数全体は高々可算しかありません。
計算可能実数全体は実閉体をなす事が知られています。また可算集合にも関わらずその中だけで連続関数を定義したり収束列を考えたりでき、ある程度解析学が実行出来る事も知られています。
計算可能実数の定義は実効的再帰的に何桁目までも計算出来る事を保証していますから、n番目の素数並みにはクリアな対象と言えます。