埼玉県・上尾氷川神社 その1/2 胴羽目 | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2022年9月5日 埼玉県上尾市二ツ宮の上尾氷川神社に参拝しました。

 

彫刻が多いため、2つに分けて掲載します。

  ・埼玉県・上尾氷川神社 その1/2 胴羽目

  ・埼玉県・上尾氷川神社 その2/2 腰羽目

 

由緒

創建は、当地一帯を上尾郷と称していた中世までさかのぼることが推測され、『風土記稿』上尾村の項には「氷川社  上尾三か村の鎮守なり、男体女体の両社にて、間に道をへだてならびたてり、村内遍照院の持」と記されています。これに見えるように、当社は元来男体・女体の両社からなり、小字名を二ツ宮の由来ともなりました。明治初年の神仏分離を経て、男体・女体の両社は、いずれも氷川社と称し、明治6年に村社に列しました。しかし、明治42年に女体社を継承した氷川社の方が隣村の上尾宿の鍬神社に合祀される事態となり、鍬神社は社名を氷川鍬神社に改め、村社に列しました。一方、当地では男体社を継承した氷川社が一社だけとなりました。

 

鳥居

 

拝殿

 

本殿と玉垣  真夏で草が生い茂っていました。彫刻の解説した案内板があったので通行は問題ないと思います。

 

本殿  市指定有形文化財

 

右面の胴羽目:

 

(左側の彫刻)精衛公主
 彫刻は、頭に鳥の宝冠を載せたあでやかな精衛公主と、仙人の輿車に乗った気品のある仙界の女王といわれる西王母との対面の光景です。精衛公主は、神農民(古い時代の仙人)の娘で、容姿端麗にして絶世の美女でした。ある日、散る花を見て無常を感じ、天に向かって嘆いたところ、西王母が仙人の輿車に乗って多くの侍女とともに姿を現わし、「精衛公主よ、里心を断ち切り、仙宮に来なさい」と告げて姿を隠したといわれています。(案内板の彫刻の解説より)

 

(右側の彫刻)嫦娥公主
 彫刻は、老松に雲を配し、渓流沿いに牡丹を彫り、その上に薬籠を持った玉女(仙人の侍女)と符を持つ童仙とともに、嫦娥公主が昇天しようとしている構図です。嫦娥公主は、亭主が西王母(仙界の女王)から授かって隠し持っていた不老不死の仙薬を密かに盗みだしては服用し、いつの間にか仙人となり、そのまま月の世界へ飛んで月宮殿の女王となった、幸運の美女といわれています(案内板の彫刻の解説より)

 

背面の胴羽目:王方平と麻姑
彫刻は、老松に満開の桜を配し、下段に老翁の王方平が、仙果を持った玉女(仙人の次女)と如意を持った童仙を連れて立っている構図です。上段には、若々しい美女の麻姑が、珊瑚の壷を持つ童仙と玉女を従えて現われた姿が彫られています。麻姑の背面には、宮殿風の建物がありますが、この建物が蔡経の家です。仙界の逸材といわれる王方平は、五匹の竜にひかせた羽車に乗り、多くの人々を従えて、蔡経の家に着くと、王方平は麻姑の許へ使者を遣わせました。やがて、十八、九に見える若くて美しい麻姑が、多くの侍女とともに到着しました。麻姑が持ってきた御馳走を金の大皿に盛って、酒席が開かれました。この日、蔡経は、人を救い病を治すことのできる法を伝授されました。宴が終ると、王方平と麻姑は、乗り物を命じ、行列の支度ができると昇天したといわれています。(案内板の彫刻の解説より)

 

左面の胴羽目

 

(左側の彫刻)黄鶴仙人
 彫刻は、善根を積む業績が認められた黄鶴仙人が、仙界の帝王の宮殿に伺候し、黄帝より仙薬の秘伝を書いた巻物を伝授されて、鶴に乗って下界に下ろうとする構図です。黄鶴仙人とは費長房のことです。費長房の仙術の師は壺公です。壺公は、町に出ては薬を売り、その収入を困っている人々に施していました。費長房は、壺公が凡人でないことを知り、無償で壺公に尽くしました。壺公は、費長房の誠実さを認めて仙術を伝授して、地上で病を治し諸々の災難を消すことに専念するように申し渡したといわれています。(案内板の彫刻の解説より)

 

(右側の彫刻)応夫人
 彫刻は、堂々たる応夫人と竜です。応夫人は、和楽器を扱う人々の祖神として崇拝されることがありますが、この本殿では、応夫人の琴によって祭神をなぐさめたいという願いがこめられているのでしょう。応夫人は、仙界の女王といわれる西王母の侍女で、一絃の琴の名手といわれ、白竜に乗って飛行した仙人です。応夫人の彫刻は彫工の間で人気があったとみえ、県内の社寺にも点在しています。(案内板の彫刻の解説より)

 

右面の脇障子:応龍(羽根のある龍)

左面の脇障子:応龍(羽根のある龍)

 

埼玉県・上尾氷川神社 その2/2 腰羽目に続きます

 

コメント:胴羽目彫刻のほとんどが見たことが無い題材を扱っており、一見の価値があると思います。素晴らしい彫刻でした。

 

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