埼玉県・香取神社 その2/2 腰羽目など | 神社に隠れていたモノ

神社に隠れていたモノ

神社の彫刻を見て、何の物語か教えてほしいと思ったことがあり、調べた結果をブログします。タイトル「神社に隠れていたモノ」は覆屋の中にこんな素晴らしい彫刻が隠れていたのかという思いから付けました。

2022年2月26日 埼玉県越谷市大沢の香取神社に参拝しました。

 

彫刻が多いため、2つに分けて掲載します。

  ・埼玉県・香取神社 その1/2 胴羽目

  ・埼玉県・香取神社 その2/2 腰羽目など

 
左面の腰羽目  各面に4枚の彫刻があります
 
左面の腰羽目:(上側)闘鶏  (下側)雉
 
左面の腰羽目:(上側)鶏  (下側)孔雀
 
背面の腰羽目:
(上側)中国二十四孝 大舜
大舜の母親は早く亡くなり、義母は義弟を可愛がり、大舜に辛く当たった。大舜は自分を愛さない義母や父のために不平も言わず一生懸命に働いた。その徳によって、大舜が田を耕しに行くと、象が現れ田を耕し、鳥が来て田の草を取り、農作業を助けたという。時の皇帝である堯王は大舜の孝行に感心し、娘を娶らせ、後に皇帝の座を大舜に譲ったという。
(下側)藍染の作業風景
布地の糊を川で洗い落としている場面。布地に糊を塗っている場面。
 
背面の腰羽目:
(上側)中国二十四孝 郭巨
郭巨は貧困のため母と子供を養えなくなり、悩んだすえに「子供は再び得られるが、母は再び得られないのだから、子供を捨てる」と決心し、妻にそう告白した。夫の悩む姿を見続けていた妻も頷きました。郭巨が子供を埋める穴を掘ると、黄金の釜が出てきました。その釜には「孝行な郭巨に天から与える。役人も他人も盗ってはいけない」と書かれた札が入っていました。郭巨は黄金の釜を売り、子供を養いながら更に母に孝行しました。
(下側)藍染の作業風景
布地を打ち叩いて布のしわを伸ばしたり、柔らかくしたりしている場面。藍瓶に布を入れて染色している場面。
 
右面の腰羽目:(上側)寿老人と鹿  (下側)恵比寿・福禄寿・弁財天
 
右面の腰羽目:(上側)布袋と独楽で遊ぶ唐子   (下側)大黒天とネズミ・毘沙門天
 
背面の上部  各面に4枚の彫刻があります
 
左面の上部:(上側)唐子--獅子舞   (下側)虎
 
左面の上部:(上側)唐子--碁打ち   (下側)龍

                 
右面の上部:(上側)十牛図の第5図.牧牛   (下側)龍
 
右面の上部:(上側)十牛図の第6図.騎牛帰家   (下側)龍

 
”十牛図”とは、中国の宋の時代の禅の入門書で、禅の悟りにいたる道筋を表しています。「十牛図」には、一頭の牛が登場します。「牛」は「本当の自分」の象徴で、牛を探し求める牧童は「真の自己を究明する自分」を例えたものです。
 ・第5図.牧牛(牛を飼いならす)  牛(自分自身)を飼いならすとは、自分のことを本当に知る、自分の知らない自分に気づく、ということです。
 ・第6図.騎牛帰家(牛に乗って家に帰る) 牛(目標)を飼いならした牧童が、牛の背中で笛を吹き、家に帰る。
 
正面の上部:唐子--闘鶏(左側)  唐子--書・画(右側)
 
正面扉:宝尽くし(打ち出の小槌、宝珠、隠れ笠、宝鍵、宝巻など) 扉両脇:獅子
 
コメント:胴羽目だけでなく、腰羽目なども良い彫刻です。特に「十牛図」(禅の悟りにいたる道筋を示した禅の入門書)は珍しい題材です。
 

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