ホテルにはいると、また彼女の表情は違う色を見せた。

どうしてこんな顔をするようになったんだろう。

お金、いやいや、義務、そんな表情がみじんもない。

男をえらくする、勘違いさせる作法。

お金で関係を持ったはずなのに、僕らは激しく求めあった。

ようやく僕は目的を果たすことができた。

そう、彼女を求めてお金を払ったわけではない。それを罰ゲームのように無理やりやらされたのだ。

なのに彼女は自分を求めてきた男を分け隔てなく王様にしてくれた。

ほんとは、ここで起こったことは私たちだけの秘密のはずなのにね。それがこのカメラ一個で全部壊れちゃうんだね。。

乾いた笑顔。うつむく髪の毛。支えられていない肩。

それを僕は視線と笑顔で全部支える。

そうさ、思い出なんて本来持ちだすことなんてできないんだ。

育った団地の個室。やたら寒い教室。くさい部室。。そこから思い出を持ちなすなあんて本来無理さ。

ビデオって、人のこころまで変えちゃうんだね。

いや、かわらないさ。みんな思い出にとどまることが必要な時間があるのさ。。

ああ、私の思い出も母国に忘れてきちゃったんだな~。

そうだね。いつか取り返しにいこおう。

あれー。ついてくるき。

彼女はいたずらっぽく笑う。

そうさ。彼女は見抜いてる。

僕にはそんなことできないと。

あ、ああ、ねえ、りゅうは今日何食べたいの?

そう、彼女は行為の最中から急に僕のことをリュウと呼び出した。

最初はうわごとと思っていたが、完全に記憶の壁を越えてしまったらしい。

竜?劉?龍?

でも、僕はリュウではない。。

でも、もう彼女の中ではりゅうなのだ。

こんな、ここだけの行為の思い出を持ち出すことにとどまらず、彼女な大切なリュウまで、僕は待ちださないといけないのか。なぜ、人はこんなにも強くはかないモナなんであろうか。

ねえ。りゅう。早くどっか食べに行こうよ!

ああ、わかった、すぐ支度するよ。今日は特に美味しいもの食べに行こう。

ふときずいた。

初めて笑いあっていることに。