海

世間では外資系の証券会社が破綻して世間を賑わしていますね。
優秀な人が集まっている会社なのに、
株や金融取引って一寸先は闇なんだなと感じました。
やはり僕は株ではなく、いくらちゃんの「バブー」の方がいいです('A`)

前回の「灰皿に盛りつけられた料理」
の記事に続きレストランでのあるお話しを書いてみようと思います。

以前提携していた、海の近くのレストランでのお話です。
ある日そのレストランの親会社が突然破綻し、
提携しているそのレストランも営業することができなくなってしまいました。
でも5日後には結婚式が控えています。

親会社からの通告で「結婚式は丁重にお断りしなさい」という命令がありました。
でもレストランのスタッフは今まで打ち合わせを重ね一緒に気づき上げてきた準備。
特にプランナーさんはお二人の気持ちを知っていただけに、
5日前になって「会社が潰れちゃいましたので結婚式出来ません」
なんて気楽に言えるわけもなく、
親会社からの命令に単純に首を縦に振ることはできなかったようです。

「どうにかして結婚式を執りおこないたい」

レストランスタッフの気持ちはひとつなのですが、
でもお二人は数日後にはなくなってしまうレストランで結婚式を行いたいだろうか?
まず新郎新婦にその意志を確認することから始まりました。

新郎新婦はその事実を聞いたとき数分間言葉が出てこなかったようですが、
事実を受け止め「ここで結婚式をしたいです、大好きな場所ですから」
お二人はお付き合いされているときから、このレストランを愛してくれていたそうです。
プロポーズもこのレストランで行い、結婚式も絶対にこのレストランでと決めていたそうです。

しかし親会社から「結婚式を行ってはならない」という通告がありました。
支配人が親会社に詳細を聞くと法的にではなく、
これ以上の支払いは出来ないから行わないようにという意味なようです。
たしかに親会社が破綻したことを請け、
結婚式にまつわる取引会社との取引が出来なくなりました。
お料理の食材を仕入れている会社、サービススタッフを斡旋する配膳会社、
そして聖歌隊や牧師先生などなど。
いずれも結婚式にはなくてはならないものばかりです。

お二人はつぶれるとわかっていても結婚式を行いたい、
でも今のままでは結婚式が出来る状況ではない。
レストランのプランナーとスタッフは結婚式が執りおこなうことが出来るよう、
色々と交渉をしたようです。
取引がなくなったと言うことは、
仕入れが今まで通りできなくなりますし、
いつも通りの仕入れ価格で出来なくなると言う事になります。

牧師先生と聖歌隊はご厚意で執りおこなって下さることになり、
サービススタッフはレストラン従業員総動員で行うことになりました。
サービススタッフだけでなく、事務員さんや厨房スタッフ全員です。

残る問題はお料理の食材です。
お肉を入れている業者さんはスタッフの熱意に、
今まで通りの仕入れ価格で食材を提供してくれることになりました。
しかし野菜と魚を入れてくれていた業者さんは、やはり難しかったようです。
事情が事情だけにここは甘えるわけにはいかないですからね。

30人分の野菜と魚の調達。
野菜は地元農家に交渉しどうにか取りそろえることはできたのですが、
魚を30人分揃えるのは難しく、赤字覚悟で小売店で揃えようにも数が揃いません。
メニュー変更も検討されましたが、お二人を祝福にきてくれるゲストの気持ちを考えると、
出来ることならランクダウンはしたくないという結論に至りました。

シェフとスタッフで考え抜いた結果、
シェフが「結婚式当日は朝4時集合で」と数名のスタッフに告げていました。
結婚式は13時からなのになぜ4時? そして僕も4時集合です。
指名理由は朝型だったからだそうです、たしかに4時は守備範囲内です(笑)

4時集合のワケは食材である魚を釣りに行くための時間でした。
シェフ友人の釣り船に乗せてもらい、披露宴の食材である魚を釣りに行くこと。
しかも結婚式当日に。
なんとも賭けに走ったなと感じたのですが、
三つ星レストランでシェフをしていたこともあるシェフ、そして釣りが大好きなシェフ。
何か勝算が合っての行動に違いないと皆シェフの背中について行きました。
そこにはシェフが取りそろえた、釣り竿と仕掛けがありました。
さあ釣りの始まりです。

でも釣りが始まって30分経っても40分経っても誰も釣れません。

僕とスタッフは焦り始めますが、
シェフは風林火山の教えの如く微動だにせず釣り竿の先を見つめています。
とその瞬間シェフやスタッフ達の釣り竿が揺れ始めました、
数時間の格闘のあと鯛やアジなど、30人分の食材の魚十分に釣れました。
いつも使用する魚以上の素晴らしい魚が捕れたようです。
釣り初心者の僕は地球を何回も釣っていましたけどね('A`)

そしてレストランに戻り、会場スタッフがテーブルコーディネートをしています。
その中のペーパーアイテムの「本日のメニュー」が気になり見てみると、
「今朝釣りあげた魚のマリネ」「三種の魚を三種のソースで」
とメニューに記載されていました。
昨日刷り上げたメニュー表、
昨日の時点でシェフは釣るという確信を持っていたのでしょうね。

そして披露宴のお料理の取れたての魚たち、おいしくないわけがありませんよね。
お二人もゲストも楽しい会話のはずむ披露宴になりました。

そんな釣りの光景なども撮影してアルバムに収めました。
新郎新婦にとっても、スタッフにとっても、
僕にとっても心に残っている最後のレストランでのある日の1日。
線香花火は散り際が一番輝くと言いますが、
最後の結婚式、いつも以上に輝やいていた結婚式でした。


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ダジャレも含めて頑張って撮影させていただきます('A`) 
お日柄の良い日は1年前から埋まってしまうこともあるので良かったらお早めに!

dapandan@gmail.com パンダ

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