「おじいちゃんの腕をつねってしまった!」「背中をたたいてしまった!」
自分が信じられない!まさか私がこんな事をしてしまうなんて……
感情が抑えられませんでした。
もちろん「力いっぱい」ではありません。でも、手が出てしまったのです。
ある日、舅の強い希望で、一眼レフカメラをプレゼントしました。誕生日お祝いに。
舅は早速一人で車を運転し、写真を撮りに行こうとします。しかし運転は危険です。
私は車の鍵を隠していました。予想通り舅は激怒しています
舅は電信柱に車をぶつけたばかりなのです。車を修理した話を舅にしました。何よりも
「人をひいてしまったら取り返しがつかないよおじいちゃんのことも心配だし。」と運転を諦めてもらうように言うと、
「あれはタマタマや!」
仕方なく私が運転して、花の写真を撮りに近くの神社や公園へ行きます。
そして帰宅後、テレビのニュース番組の
「写真掲載コーナー」に応募するのです。
今は郵送ではなく、メールで写真もコメントも送るようになっていますので、舅にはできません。
なのでひたすら私に「送ってくれ!」を言い続けました。
姑にコメントを考えてもらって、私が毎回PCで応募しました。10回は応募したと思います。
しかし、毎回テレビ番組をチェックしても、舅の写真は掲載されることはありませんでした。
いつも「写真掲載」の時間になると。テレビの前にかぶりつきになっていた舅
怒って私にこう言います。
「たおたお、今すぐNHKに電話してくれ!なんで大したことない作品ばかり取り上げられて、わしの作品はいつも無視するのか、聞いてくれ!!」
「これには何か裏があるはずや!」
困り果てた私は、夫(単身赴任中)に電話しました。ちょうど休日でしたので…。
主人は優しい声で、舅に言いました。
「お父さんの作品が素晴らしいのはわかっていますよ!でもね、今の若い人は、パソコンで写真を加工して、実力以上の作品に仕上げることができるんですよ。あっ、たおたおは残念ですけど、それはできませんからね。だからもう仕方のない事なんです。」
……無駄でした
誰が何を言っても「NHKに電話をしてくれ~!」の一点張り
電話する「ふり」をしてみても、すぐに見破ってしまいます。
何時間でも訴え続ける舅に、私はもう我慢できなくなり、腕をキュッとつねってしまいました。
あんまり痛さを感じなかったみたいで、「痛い」ともなんとも言わず、舅は相変わらず
「早くNHKに電話してくれ!」と言っています。
今度は背中をたたきました。さっきよりも力を入れて……すると舅は私に叫びました。
「気が狂ったのか?!」(私がそれを言いたいわ)
残ったのは
「お義父さんに手をあげてしまった!」
という後悔だけです。
今でも思いだすと辛いです、申し訳なかったと思います。
「おじいちゃん、ごめんね!」
舅はその後2、3日訴え続けて、結局、
「もう写真を見る目がないところには応募せえへん」
と言って終了しました。良かった(時々思い出しては、また文句を言う時もありましたが)
しばらくして、(舅ではなく)私の異変を感じた夫が中国から家に帰ってきます。