
カセットテープ全盛の時代のこと。
色んなメーカーがカセットテープを出していた。
ソニー、TDK,マクセル、その他。
45分テープ、60分テープ、90分テープ、120分テープなど、尺も様々なサイズがあった。
中には10分ぐらいの短いテープもあった。
たった10分でどうするの?なんていう声も聞こえそうだが、なんのなんの。
バンドでコピーする曲をメンバーに渡す時など、1曲あるいは2曲に絞ったテープは、何気に便利ではあったのだ。
45分テープは、当時全盛だったLPを録音するのにちょうどよかった。
というのは、LPというのは、A面B面合わせて45分以内で終わることが多かったからだ。
なので、45分テープというのは、LPを1枚録音するのにもってこいだった。
60分テープというのは、最初に出たカセットテープの標準尺だったと思う。
60分と言う長さが標準で、やがてカセットの使い道に合わせて、バリエーションとして様々な尺のカセットが発売されるようになったと思う。
90分テープというのは、LPを2枚録音するのに最適だった。まるで、LPを2枚分録音するために出たバージョンにも思えた。
90分テープだと、片面が45分ある。
なので、当時のLPが45分以内が多かったので、片面にLP1枚分づつ録音すれば、都合LP2枚分が収録できた。しかも余白が少なくて。
120分テープというのは、片面が1時間ある。なので、より長い「何か」を録音するのに使った。多分、120分テープは会議などを録音するのによかったのではないか。
もしかしたら、インタビューなどにも使われたかもね。
だが、120分テープにLPなどを録音してしまうと、特定の曲をピンポイントに探す時、苦労した。
なので、私は120分テープはあまり使わなかった覚えがある。
長いので、なにやらテープがヨレヨレになりやすいイメージもあったし。
特定の曲を探す・・・という意味では、90分テープも苦労したが、それでもLPを2枚、ほぼジャストに近い感覚で収録できる便利さが上回った。
先ほど45分テープはLP1枚を収録するのにちょうどよかった・・・と書いたが、中には例外もあった。
その例外とは、LPの長さが45分を越える場合もあったこと。
LPの長さが45分を越える作品だと、せっかくカセットに録音してたのに、LPを最後まで収録できずに、カセットが途中で・・
バツン!
・・・という音を立てて終わってしまうことがあったこと。
つまりLPが中途半端に途切れるわけだ。
このバツンという音は、なにやら絶望的な音に聞こえた。
LPがまだ再生が終わってないのに、録音してたカセットが先に終わってしまうと、「あらら・・こりゃ60分テープに代えて、再びLPの最初から録音しなおさなきゃ・・」と思ったものだった。
それまでにかかった時間を返してくれ・・・という気分だった。
ならば尺ギリギリの45分テープじゃなくて、最初から60分テープを使えばいいじゃないか・・・というツッコミが入りそうだが、ことはそう簡単でもなく。
というのは、確かにたまに45分以上の長さのあるLPもあったが、それとて60分あるわけじゃない。
せいぜい45分を数分上回るだけだった。
CDとLPでは、収録しておける音源の許容量が違ったのだろう。
なので、60分テープにLPを入れてしまうと、A面もB面もけっこうテープが余ってしまう。テープの余白が多くなるのだ。
その余白がもったいないというか、中途半端なのが嫌で。
だったら余った余白に、そのLPの収録曲の看板曲でも再録すればいいじゃないかとか、何かシングル曲でも入れて余白を埋めればいいじゃないか・・・と思う方もいるかもしれない。
CDなどではボーナストラックなんていう収録曲もあるじゃないか・・・というツッコミもあるかもしれない。
でも、それをやってしまったら、そのLPでミュージシャンが意図した「アルバムの構成」が崩れることになる。
リスナーとしては、それがどうも嫌で。
CDのボーナストラックみたいに正式に収録されてるなら仕方ないが、あくまでも個人単位の都合でアルバムの構成を崩してしまうのに私は抵抗があった・・。
アルバムというものは、アルバムタイトル、ジャケット、歌詞、曲、編曲、選曲、曲順、曲間の隙間、曲の長さ、などなど色んな要素を、ミュージシャンが心血注いで考え抜いて制作した作品だと思うから・・。ミュージシャンの意図した構成に敬意を払っていたかったし、安易に崩したくなかった・・。
まあ、ベスト盤とか、企画編集アルバムなら別にしても。
アルバムの長さはまちまちで、総尺で45分以内に収まっても、カセットの片面単位では収まらない場合もあった。
わかりやすく極端に言うと、たとえばA面とB面を足した総尺では45分以内でも、A面は25分近くあるが、B面は20分ちょいだったりするアルバムもあったりした。
へたしたら20分にも満たない尺だったりすることもあった。
こういう構成だと、A面は45分カセットではアルバムの途中で切れてしまうことになる。
デッキの「バツン!」という音と共に。
当時私がオーディオセットに組み込んでたカセットデッキは、テープが終わった時に「バツン」という音がする製品だったから。
そんな状態をリカバーしてくれるのは90分テープだった。90分テープならカセットの片面が45分あるので、総尺が45分のアルバムなら途中で切れずに済む。
だが、45分テープだと、片面が22分半ぐらいだ。20分くらいのB面なら収まるが、25分近くあるA面は収まりきらない。
こういう時は、45分テープはあきらめて、90分テープの片面にまとめて収めるか、余白ができるデメリットを受け入れて60分テープにするしかなかった。
どちらにせよ、バツンという音と共に、テープを代えてLPを最初から入れ直すしかないという意味では同じであった。
たまにそういうLPもあったのだ。録音者泣かせの作品が(笑)。
だがまあ、たいがいのLPは45分テープでなんとかなっていた。
45分なら、余白もあまりできないしね。
なので、カセットにLPを録音する時、LPジャケットの中に入っていた解説カードは大事だった。なぜなら、解説カードには、収録曲それぞれの「1曲の長さ」が表示されてることが多かったから。
片面片面の収録曲の長さを計算し、総尺が22分半を超えそうだと、あらかじめ90分テープにしておいたほうが無難であった。
これがたとえば人間社会なら・・・例えば会社での勤務時間が17時で終了だとする。
だが、17時では仕事が終わりそうもない。でも、ちょっとオーバーすれば片付きそうだ。
そんな場合、「あとちょっとで区切りがつくから多少時間オーバーしてでも今日のうちにやってしまおう」と思えたりする。まあ、ちょっとのオーバーなら残業手当なんていいや。それより区切りがつくほうがすっきりするし・・と思って。
だが、機械だとそうはいかない。
ないものはない、あるものはある・・なのだ。
カセットテープに向かって「おいおい、あとせいぜい数分頑張ってくれれば片面に収まるじゃないか。なんとか頑張って片面フルに収録してくれよ」などと言っても無駄である(笑)。
カセットとLPの関係では上記のような問題はあった。
LPというものはA面とB面に別れていたからね。
だが、CDになって、片面の概念はなくなった。
私が自主制作アルバムを作った時、実は・・せっかくCDで作るなら、LPでは課題だったことをやってみようと思った。
それは曲の並びだ。
私の自主制作アルバムでは、アルバムの収録曲のど真ん中に一番長い曲「母校が消えた日」を配置してある。
アルバムの総尺は45分以内で制作してあるが、真ん中に一番長い曲が置いてあることで、これをもしも45分カセットに収めようとした場合、「母校が消えた日」をカセットのA面に入れるかB面に入れるか迷うと思う。
45分カセットのA面に入れたらB面が極端に短くなってしまうし、B面に入れたら逆にA面が極端に短くなってしまう。
まあ、90分テープなら何の問題もないのだが、45分カセットだと、そのへん迷うことになると思う。
これは私がカセットの時代に、さんざん45分カセットを愛用してたからならではのポイントだったと思う。
まあ、カセットが昔ほどには一般的ではなくなってしまったから、あまり考えなくでもいい「しょ~もない課題」だったとは思うけどね(笑)。
でも・・・話によると、最近はLPもカセットもやや復活気味らしい。
もしも私の自主制作アルバム「空を見ていた。」をLPで作ってたら、曲の配置は変わっていたかもしれない。
というか、根本的にアルバムの構成を練り直した可能性は高い。
実は・・・私は若い頃はLPで育った世代なので、自主制作アルバムを作る時は、できれば本当はLPで作りたかった・・(笑)。