
子供の頃の夏休みに、家でカブト虫やクワガタ虫を飼ったことがある人は多いだろう。
私もその中のひとり。
私など、飼うだけでは飽き足らず、カブトムシやクワガタ虫の観察日記を書いて、それを夏休みの自由研究の宿題にしていた覚えがある。
こうすれば、カブトムシやクワガタ虫を飼う楽しみがあるうえに、夏休みの自由研究のネタにもなり、まさに一石二鳥であった。
で、カブトムシやクワガタ虫の餌として、スイカをあげていた人は多いのではないだろうか。
私はスイカは今でも大好きだが、スイカの匂いを嗅ぐと、どうも昔飼ったカブトムシやクワガタ虫を思い出すことがある。
というか、ある意味、私にとっては・・へたしたらスイカの匂いはカブトムシやクワガタ虫の匂いのように思えた節がある。
それはあくまでもスイカの匂いであって、決してカブトムシやクワガタ虫の本来の匂いだったわけでもないのに。
カブトムシやクワガタ虫を飼っていた箱や水槽の中にスイカを入れたままにしていたから、そのスイカの匂いが家の中にずっと漂っていた。
だから、スイカの匂いがまるでカブトムシやクワガタ虫の匂いのように思えていたのだ。
当時、カブトムシやクワガタ虫の餌というと、それらの虫を飼っている家では、スイカが餌の定番だった。
だが、最近は、そうでもないらしい。
なんでも、スイカは、水分が多い割には、栄養分は足りないらしい。
また、暑い夏にスイカを入れっぱなしにしておくと、当然のように腐りやすい。
まあ、そのへんはなんとなく子供心にも分かってはいたが、カブトムシやクワガタ虫には、ちょっとぐらい腐ったぐらいのスイカの方が良いとか、あるいはちょっとぐらい腐ってもカブトムシやクワガタ虫には大丈夫・・・と思っていた節が私にはある。
それには何の根拠もなく、そう思っていたのだ。
カブトムシもクワガタ虫も、腐ったスイカを食べると、やはり体調を崩す・・・というのが今の通説らしい。
しかも、水分の割には栄養が少ないらしいとあれば、なおさらなのだろう。
今では昆虫用の餌「昆虫ゼリー」という餌があるそうで、そのゼリーを餌として与えるのが一般的だそうな。
最近では、スイカなど「昔カブトムシやクワガタ虫の餌の定番」とされていた餌は、むしろ与えない方がいい・・という考え方らしい。
子供の時以来、何十年もカブトムシやクワガタ虫を飼っていない私には、そのへんのことを知らなかった。
今にして思えば、昔カブトムシやクワガタ虫を飼っても、ほどなくして死んでしまったのは、そのへんのことも影響していたのかもしれない。
腐った食べ物は、人間だけでなく、昆虫にもよくないのだね。
考えてみれば、同じ生物なのだから、当たり前と言えば当たり前のことか。
昆虫ゼリーなる「昆虫用の餌」として開発(?)された餌がある今は、カブトムシやクワガタ虫を飼ったら、その寿命は昔より長いのかな。
なんでも、腐ったスイカなどを食べるとカブトムシやクワガタ虫は下痢をして、体力が落ちたり、脱水症状を起こす・・・という見方があるようだが、それでも正確なところはまだ不明ではあるようだ。
ネットで調べてみたところ、スイカなどの水分が多いものは腐りやすいからダメでも、リンゴやバナナなどは水分が少ないので痛みにくいから大丈夫・・・という説もあるようだ。
まあ、その説にしても、はっきり実証されているわけでもないようではある。
なんにせよ、昆虫用に開発された「昆虫ゼリー」がなかった昔と、そういうのがある現在では、飼われている昆虫の環境はだいぶ良くなってはいるのだろう。
昆虫ゼリーを餌として与えるのが今の「飼い方」なのだとしたら、スイカの匂いを嗅ぐとカブトムシやクワガタ虫の匂いに思えた、昔の子供たちの感覚は、今の子供たちにはないのだろう。
私など、今でもスイカを食べると、食べ進んで皮が見えてくるようになると、だんだんそれがカブトムシの餌のように思えてきたりする感覚が・・あったりする(笑)。
当時、私は自分があらかた食べ進んだスイカの「残り」を、カブトムシたちに与えていたのだろう、きっと。
まったく、困ったものだ。
人間の食い残しのスイカを与えられていた昔のカブトムシやクワガタ虫が、そのせいで短命に終わっていたのだとしたら、悪いことをしたものだ。
そのへん、今のカブトムシたちは贅沢であり、昔のカブトムシたちより幸せなのだろう。
もっとも・・・一番幸せなカブトムシたちは、人間につかまらずに、クヌギの木がある自然環境の中で、天寿を全うするカブトムシたちなのであろうが。