3泊目を上高地温泉ホテルで過ごした私は、上高地から帰らなきゃいけない日をむかえた。

残念でならない。

もっと居たかった。

名残惜しかった。

夏だというのに、朝は10度前後で、長袖を着ないと少し寒さを感じたぐらいだった。

もっとも、歩いていれば体が暑くなってゆき、長袖は脱いでしまったのだけど。

脱いだトレーナーは、汗びっしょりだった。

 

昼は、日差しの中にいれば、それなりに暑かった。

東京の夏は、へたしたら35度を超えるというのに、上高地では日向で24~25度くらい。

日差しはそれなりに暑いし、ジリジリきたが、日影に入れば快適。

なにより、湿気をあまり感じなかった。

なので、東京に帰って、その湿気の中で、35度以上の環境に戻るのは・・・少々うんざり気分だった。

やはり、上高地は・・別天地なんだね。

 

宿を出て、歩行者専用の林道を歩いて、バスターミナルに到着。

バスターミナルのあたりは、さすがに人が多い。

長い滞在期間の登山客、手軽な旅の家族連れ、弾丸ツアーで訪れる人、外国人・・などなど、様々な来訪者がここには一堂に会していることになるわけだし、そりゃ人が多いわけだ。

もっとも、槍ケ岳などが目当ての登山客は、上高地の賑わいはそそくさとスルーして、とっとと奥の方に行ってしまうようだ。

彼らにとっては上高地は登山帰りにビールを飲むための場所・・・そんな感じの人が多いとも聞く。

 

 

 

このバスターミナル近辺には、土産物や軽食を売る売店も多い。

郵便局もある。

公衆トイレは、チップ制で、100円ぐらいのカンパをして利用することになる。

 

さて・・・私は、もうすぐここを立ち去らねばならない。

 ターミナルの建物の向こうに見える穂高連峰は、今からここを去る現実を考えると、せめてもの慰めにも見えた(一番上の写真)。

 

バスまでまだ時間があるので、再び梓川の川べりに行ってみた。

右側には、お馴染みの「河童橋と穂高連峰」が同時にアングルにおさまる風景が見えた。

左側には、川の流れの先に焼岳が見えた。

 

上高地のバスターミナルからバスに乗るためには、乗車券のほかに整理券が必要になる。

乗車券を窓口で見せると、番号の書かれた整理券を渡されるわけだ。

で、自分の乗るバスが来た時、整理券に記されている番号中に乗車することになる。

当然、番号の若い人が先に乗車でき、好きな席を確保できる。

バスは基本的に全員座れる。

座れそうもない場合は、別のバスに振り分けられるのだろう。

 

やがてバスが走り出し、ターミナルや穂高が遠ざかる。

木々は前方から流れ、後方へ過ぎてゆく。

そして、大正池のほとりを通る。

ほとりには、観光客が見える。

そして、大正池が終わろうとする時、はるか遠くの方に穂高連峰が一瞬見える。

やはり、高い。飛びぬけて高い。

通常では中々見れない高さの山山。異様なくらい、高く感じる。

またしばらく会えなくなるけど、きっとまた来るはず。

 

一瞬の高さを見せると、穂高連峰は、もう見えなくなった。

バスは上高地から出てしまったのだ。これから現実世界に戻ってゆくのだ。

ということは、上高地で過ごした時間は、一瞬の夢みたいなものだったのかもしれない・・などと思ったりする。

すると、たまらなく・・・寂しかった。

 

 

 

一時間ちょい走ったバスは、上高地線という電車の「新島々」という駅の駅前にあるバスターミナルに着いた。

この駅を離れるということは、ますます上高地から現実に戻ることになる。

あらためて名残惜しくて、上高地に通じているわけでもない線路を眺めてみる。

なにげない、田舎駅の線路だった。もう上高地の断片もない。

 

そこから上高地線に乗り換え、一路「松本駅」に向かう。

そして、松本駅で「あずさ」に乗り換えれば・・・後はもう東京の新宿に向かうだけになる。

 

 

またね。上高地。

私の「国内の、お気に入り旅先ランキング」の筆頭クラスの場所。

私の大好きな場所。

私にとって、特別な場所。

それは子供の頃から、今に至るまで変わらない。

そして、これからも。

 旅行中、夜に雨が降っても、昼間はずっと晴れてくれて、ありがとう。

これでまた、しばらくは頑張って日々を過ごせそうだ。

上高地を思い浮かべながら。

 

また来る。