
これは、かつてのNHKの少年ドラマの主題歌として使われた曲。
そのドラマは「つぶやき岩の秘密」という。
少年ドラマにはファンが多かったが、なかでも「つぶやき岩の秘密」は評価が高かった名作であった。
私自身DVDを持っているが、今見ても十分に面白いドラマだ。
ドラマや、その原作小説に関しては、いずれこのブログで書いてみたい。
今回は、その主題歌をとりあげてみる。
「遠い海の記憶」。井上真介作詞、樋口康雄作曲。
この曲は、毎回ドラマのエンディングに流れた曲で、哀愁・郷愁のメロディラインと象徴的な歌詞が味わい深く、歌ってた石川セリさんの歌声が、またいい。
歌のバックには、広い海原に、小さな船に乗って1人で櫓をこぐ少年(?)のシルエットが遠景で写っていた。
歌と映像のマッチングが素晴らしく、観る者に深い余韻を与え、問いかけてくるようでもあり、遠くに通りすぎてゆくようでもあり。
私自身、その映像は極めて印象深く心に残っている。
見ている時もそうだが、後で思い出すと、なおさら。
冒頭のメロディは割ととりやすいが、サビでのメロディの展開は、けっこう難しい流れになっている。
歌いこなすのは、けっこう大変だと思う。
かといって、聴いていると、難解な曲という感じはそんなにない。
アレンジもいい。イントロだけでも、静かながらもゾクゾクしてくる感じだ。
歌詞には部分的に扇情的な個所もあるが、アレンジのクールさと、メロディの哀感で、扇情的にはなりすぎずに一定の距離を保っているような雰囲気が、全体に漂っている。
そして、石川セリさんの、少し物憂くて翳りのある歌声。
静かに始まり、その後一定の高揚を見せた後に、たそがれの空や海の彼方に遠ざかってゆく、甘酸っぱさと郷愁と翳りのある曲・・・・私にとっては、そんな印象の歌だ。
そんな点が、たまらなく魅力的。
某所で、この歌のことを「この世で一番好きな曲」と表現した方もいるぐらい、今でも人気の高い曲。
少年ドラマ「つぶやき岩の秘密」は今となってはかなり古い作品だし、今観ようとしたら、中古DVDを探してこないと見れない。
そんなドラマの主題歌であったことを考えれば、今では「隠れた名曲」と評しても、間違いではないだろう。
近年、セリさんのベストアルバムが発売された。
そのベストアルバムの中で、正式収録曲としてはラストに配置されたのが、この曲(ただし、ボーナストラックの数曲が、そのあとに収録されているらしいが)。
ベストアルバムのラストに配置された・・・というだけでも、この曲がセリさんにとって大事な曲であることが分かる。
できれば、生で聴いてみたいな。しかも、小さな箱で。
すると、きっと、この歌のバックに、海原で1人で小さな船をこぐ少年のシルエットが、見えてくる気がするかもしれない。
心の中で。
そして、何かを成し遂げたことで少年が少し大人になった遠い日に、誘われるような気持ちになるかもしれない。
それは、遠い海の記憶ゆえに。