
先日、本棚を整理してたら、こんな本が出て来た。
「新譜ジャーナル ベストセレクション 70`s」という本だ。
70年代に人気のあった音楽雑誌「新譜ジャーナル」に掲載された、70年代の記事の中から、記事をセレクトして集めた本だ。
これが出たのはいつ頃だったかなあ。
数年前であるのは間違いないのだが、いつしか本棚の奥の方に眠っていた。
「そういえば、買ったっけ」などと思いながら、この本をパラパラめくってみる。
いや~、今ではすっかりオジサンになってしまった「70年代のフォークやロックやポップスのシンガー」の若かりし頃の記事や写真が満載。
ここには、70年代の彼らの活躍ぶりが「リアルタイム」として残されている。
今でも残ってるシンガーは、すっかり大御所になってしまったり、伝説になってしまったり、ベテランになってしまったが、この本の中では、皆若いこと、若いこと。
なんか、その「瑞々しさ」が心地よい。
そこから「駆け上がってゆく」ためのパワーが沸騰している感じだ。
井上陽水なんか、まだ「アンドレ・カンドレ」名義で紹介されてたりするし、加藤和彦・原作&泉谷しげる・作画の「漫画」が掲載されてたりするし、今では伝説と化した「フォークジャンボリー」がリアルタイム視点で書かれてたりする。
また、それぞれのミュージシャンの若かりし頃のアルバムが、発売当時のリアルタイム評で紹介されていたりもする。
「当時はこう受け止められてたんだ」なんて思いながら読むと、面白い。
今では伝説化されてしまってるが、「後からの評価」で飾られていない&先入観も持たれていない「受け止められ方」が、興味深い。
中には、「この人、こんなに人気があったのに、○○才で亡くなってしまうんだよなあ・・」なんて思って、切なくなる記事もある。
これは、この記事が書かれた頃の時代においては「未来人である、21世紀の読者」ならではの感傷だ。
70年代の邦楽を今語られたり、聴かれたりする時って、ともすれば「後からくっついた評価」や、伝説化されて実体が見えにくくなった存在として扱われたりしがちだ。
70年代に生まれてなかった人たちや、当時はまだ音楽に目覚めてなかった「後追い」の人たちにとっては、70年代邦楽ポップス(ロック、フォーク、ニューミュージックをひっくるめ)は、どうしても「虚飾された存在」として触れることが多いのは仕方ないのかもしれない。
で、そんな人たちは、70年代邦楽をリアルタイムで聴いてみたかったという気持ちを持ちながら、リスペクトして聴くことがあるだろう。
でも、70年代邦楽をリアルタイムで聴いてた立場から言わしてもらえば、リスペクトしてくれるのは嬉しいけど、できれば「後からくっついた虚飾や伝説」をとっぱらった状態で聴いてもらいたいし、そこから自分の感覚でとらえていってもらいたい。
そのためには、この「新譜ジャーナル・ベストセレクション70`s」の記事を読みながら、この本に出ているアルバムを聴いてみるのもいいのではないだろうか。
もちろん、ここにも虚飾はある。
それは仕方のないことだ。
でも、雪だるまのように虚飾や伝説でふくれたイメージや先入観をもった「今の評価」を元にして聴くよりは、いいと思う。
なによりも、当時の世相の中、どういう状況、リアルタイム時のどういう評価、どういう流れで彼らの音楽が生み出されていったかを知る事で、より身近に感じられると思う。
そう、より身近に感じられるってのは、それぞれのミュージシャンの若かりし頃のエネルギーや勢いを感じ取れることで、そのリアルタイム感覚は大きいと思う。