思えば、だいぶ山奥に入ってきた。

トロッコ列車の旅の片道が、終点に近づいてきた。

終点駅「欅平(けやきだいら)」は、もうすぐだ。

肌に直に当たっていた風が、少し冷たくなってきた。

いや、それは、ずっと風に当たっていたから、肌が冷えてきたんだね。



それまで進行方向右側に見えていた渓谷の景観が、左に移動。

電車の座席の左側に座っていた人は、変化に富む景観が右側にばかりあるので、少し物足りなかったかもしれない。

だが、ここにきて、景観はやっと・・左側の人にも恩恵を与えだした。

これまで、我慢していた(?)左側の乗客は、ここぞとばかりにカメラを取り出して、写真を撮り始めた。

うっぷんを晴らすかのように(?)。

右側に座ってた客と、左側に座っていた客の、「恵まれ度」の立場が逆転した瞬間だった(笑)。



だが、電車はもうすぐ終点に着く。

宇奈月温泉駅から電車に乗った場合、左側に座った人が景色の恩恵を受けられるのは、終点にだいぶ近づいてからの、わずかな時間だけだ。

やはり「行き」は右側に座った方が得だと思う。

「帰り」は逆だけど。


ちなみに、このトロッコ電車で、右側に座るか、左側に座るかは、早い者勝ち。

早めに乗れた人は、行きは右側、帰りは左側に座ろう。



終点駅が近づいてきて、左側に座った人にも景色を提供しながら、電車はなおも進む。

もう一息!・・とばかりに(?)。

ゴトン、ゴトトン、ゴトトントン。

川は相変わらず、気ままにカーブを描き続けている。

くねくねと。

トロッコ電車は、それに付き合うように、渓谷を見ながら並走してゆく。

発する電車語は・・・・・あまり大きな声ではなく、つぶやくように・・

ゴトン、ゴトトン、ゴトトントン。