前作『(WHAT IS THE)LOVE&POP?』はロックとしてもポップとしても純度の高いアルバムでした。

期待値が高まる中届けられたアルバムがこちら

 

『新呼吸』★★★★★

今後の作品も大好きですが、このアルバムが個人的に大大大傑作!

「ベボベがいるなら日本のギターロック界は安泰だ。」なんて当時感動した記憶がある。

 

歌詞の胸キュン度、エモ度

ロックとしてのクールさ、ワクワクさせるフレーズ

 

それらを、「人生」→「とある一日」というコンセプトに落とし込み(勝手な解釈)、

その中、ロックが持っているロマンがあふれんばかりに輝いている。

 

 

1、「深朝」

ギターのフードバックから始まるミドルナンバー

夜でも朝でもない、青白い空。

曲の最後の歌詞に言いたいことは詰まっている

 

「だけど君は語った夢を諦めてしまった

押し寄せた現実が君の肩に手を置いたんだろう?

だけどまだ幸せは逃げないから

あたらしい朝は来るよ僕らにも」

 

このフレーズが荒んだ僕らに手を差し伸べてくれる。

 

2、「ダビングデイズ」

ハッと目が覚めるようなギターのコード

目覚ましにももってこい

方やメリハリの利いたギター、方やドリーミーな音とシャープな音を行き来するフリーキーなギター

この時点でワクワクはとまらない。

 

3、「school zone」

さあそろそろ朝の登校時間。

足取りは軽い、ポップな曲

ただ、曲調に騙されないで、

「僕は無意味に笑っている」

 

この影よ。能天気じゃないのよ。

 

4、「転校生」

軽快に16ビートを刻むドラム

揺れ動くベース

歯切れのよいギターとディレイが心地よいギターの絡み合い。

ライブで本領発揮される曲

 

にしても異性の転校生ってなんとも不思議な魅力が詰まっているよね。

それを表したような非日常的に盛った日常風景な歌詞が一興

 

5.「スローモーションをもう一度」

こちらもドラムにもディレイを利かしまくった。途中ダブ、レゲエのようなゆったり体を揺らす場面も。

少しサイケデリックな印象があります。

きっと昼ご飯後で、睡魔が見せた不思議な夢なのでしょうか。なんて

 

7、「short hair」

そろそろ下校の時刻です。

(拙は経験しませんできなかったが)気になる女のコと一緒に河川敷を下校してる。そんな風景画。

想いや言いたいことは零れるほどあるのに。

それを口に出してしまえば、なにか変わるかも、だけど…

 

…なんて臆病になるから、ほら、こんなに未練が。

でもそこに共感しかない。

 

ラブソングは自分あまり好まないのですが、こんなにも狂おしくなる後悔と純愛の歌が大好きでありんす。

 

とここまでは、青年時代を懐古してるように感じます。

ここからは、大人になっちまった今に想いを重ねているような展開に。

 

8、「Tabibito In The Dark」

そろそろ夕闇がにじり寄る頃。

パーカッシブなリズムギター→(個人的に大好きな)躍動感あふれる印象的なベース

→キックが力強い推進力のあるドラム→耳に残る効果抜群のリフを繰り出すリードギター

これらがサビで四位一体となり、最高潮に達し、それをラスサビでさらに超える展開。

歌詞にはメインコンポーザーの小出氏の覚悟が高らかに歌われる。

そこに僕らにあてはめることもできる器用さもある。

 

とんでもない泣き笑いダンスロックです。

 

9、「ヒカリナ」

街灯やビル、車のライトが付き始めるころ

展開はいたってシンプルというか短め

ただ前曲のエネルギーのおかげでまだ前に歩き出せている。いや歩かせてくれる曲。

 

10、「夜空1/2]

辺りはすっかり夜の闇。

自分の感性ではあるが、女々しさや強がりが嫌んなるほど溢れ零れている。

でも歌のメロディが陽性で、優しくこの苦みを抑えてくれている。そんなミドルナンバー

男女ボーカルの旨味が今回のアルバムではここで発揮されている。

 

11、「kodoku no synthesizer」

もう日は跨いでいる。でもなぜか寝れない。

きっと多くの人は1回は経験したことあるであろう、孤独を感じる夜

体も心も冷めていくあの感覚

 

叶わない恋、遠すぎる夢、コンプレックス、強者であれた時の優越

ちょっとした痴話喧嘩、永遠の別れ、なんでも。

なにか経験するとそこにジワリとひっついてくる孤独。

 

でもそれが当たり前で(むしろそれを感じないならば、不感症だ)。

しかもどうしようもない。解決できるもんでもない。

ただ

別に歌詞で明記されてないけれど

そんな孤独を鳴らすシンセの音が、世界中で静かに、沢山響いているのだ。

孤独をしることで孤独から解放される、そんな慰めのような救いの歌でもあると思う。

 

…ちょっと何言ってるか分かんなくなってきた(苦笑)

うん、要するに孤独であっても大丈夫たってこと。

ボリュームペダルを利用した静謐なギターが愛おしい

 

12、「yoakemae(hontou_no_yoakemae_ver.」

フェードインするイントロが追加されたver

タイトル通り夜明け前

 

前曲で孤独を感じるわけだけど、そこに明確に救いの手を差し伸べてくれているように感じる

 

言葉数は詰まっているのにさらりと聞こえる流れるような歌詞

あたたかい→つめたたい。ゼロさにそでを通す、等の言葉遊びも随所にみられて心地よい

 

サウンドは従来の、お得意の4つ打ちロックだが

ギターシンセや、トレモロなど多彩なエフェクターを噛ました練りに練り込まれたギターぽくないギター。

(またこのギターソロが問答無用にカッコよいし熱い!)

唯一無二の男女掛け合いボーカル

ルートをたどっている中随所に裏箔、オクターブのハネをいれるベース

ドラム初心者でもわかる、少しずつビートを味変させる飽きさせないドラム

 

今までの曲を一層レベルアップさせた、個人的にベボベの曲で一番好きなロックナンバー

 

 

13、「新呼吸」

そして夜が明けて、新しい朝が来る。

先に言うと1曲目の「深朝」に繋がる。

「新しい朝が来れば僕は変われるのかな

新品の現実に出会うために生きていく」

不安は払拭されず、孤独だって引きずっている

でも新しい興奮だって、恋だって、決意だって待ってる。

サビでは声高に、ときには言葉を次々と解き放つことで、次の朝に繋げていく。

(そして人生レベルなら、輪廻転生することになる)

 

ゆったりした曲調から、心拍数は上がり、得意の4つ打ちになだれ込んでいく様。

シンとしたサウンドから、カラッとしたギター

丁寧なところと、揺れ動くところは動くベース

徐々に熱量を増していくドラム

 

そして歩き始めた場面を映しながらフェードアウトしてこの作品は終了する。

 

 

というわけで

コンセプトの中で彼らの武器が進化、深化しており

 

情報量は多いが、それが説得力を増しているとも考えます。

完全にドラマティックな大傑作ギターアルバムです。

もっと注目されるべき名盤だと思うんだけどね。

 

そして3.5thアルバム2枚の存在を失念してた…(笑)