『ハピネス』映画化の

情報開示は

驚かれたろうと思いますが

書いた僕が一番、

何故に? なので

お互いさまということで。

 

 

 

 

それより、

また文楽を観に行きました。

 

『妹背山婦女庭訓』

今回の四段目

入鹿誅伐の段、まで通すのは

国立文楽劇場創設以来、

初めてなのですって!

堂々の完結編!

 

しかし、

こんな非道な話はないです。

 

まだ観る前なので無邪気に自撮りしている

 

藤原鎌足達が

蘇我入鹿を

倒す物語だけど

鎌足の息子の求馬、

こいつが非道い。

酒屋の娘のお三輪と

入鹿の妹の橘姫、

二股かけやがんの。

 

で、敵の妹と

知ってしまうけど

やっぱ

橘姫が好き!と

結婚することにするんだが、

じゃ、お三輪はどうなる?

ってことですよ。

 

端的にいうと

捨てられるんですよ。

 

求馬への想い

断ち切れず

入鹿の家を訪ねると、

祝言の仕度で

官女達はてんやわんや。

 

お三輪の境遇を

知った彼女達は

ひと目でいいから

求馬に逢いたいという

お三輪を面白がって、

歌や踊りを振る舞えば

逢わせてやるとか

意地の悪いことをいう。

 

それに従うお三輪。

でも逢わせて貰えなくて、

最終的に、

 

会場に飾ってあったお三輪さんの人形

 

嫉妬した

女の生き血があれば

入鹿の

正気を失わせるが可能

を知っていた

鎌足の家来の金輪五郎に

刀で刺されてしまうのです。

 

何故、私を……と問う

お三輪に、金輪五郎は

事情を説明し、

お三輪は、

身分違いの恋だったか

でも想い人の

役に立てたのなら

嬉しいといって

死んでいくんですが……。

 

こんなの、駄目じゃん!!

絶対に駄目!!

 

だって、この次、

演じられない

本当のラストの

五段目は

入鹿を討った後、

無事、求馬が

橘姫と結婚するらしい。

 

化けてでろ、お三輪!

橘姫に罪はないけど、

求馬は

呪い殺していいと思います。

 

なんでこれが名作なのか?

 

でも、お三輪のカシラを

担当なさっていた技芸員の

桐竹勘十郎さんの

人形の遣い方が本当に

上手過ぎて……。

 

泣いちゃった。

 

お三輪が

嫉妬に苦しむ場面に

ご自分の気持ちを

投影しながら

動かしておられて、

彼の表情を観ると

尚、お三輪に

肩入れしてしまう。

 

かといって

文楽は伝統芸能だし

型を重んじるので

大仰に表情には

お出しにならないのです。

あくまで中の人として

冷静に、正しく、

型通りに

操っておられる。

 

それでも

滲み出るんです、

桐竹勘十郎さんの

お三輪への

気持ちが……。

 

この前の

『曾根崎心中』の

お初の時も、

そりゃ

重要無形文化財保持者

だと背筋が寒くなるくらい

衝撃的だったのですが、

この人が

女子の人形を動かすと、

とんでもなく

胸が苦しくなります。

 

最近、文楽を

齧り始めたばっかの者が

何を偉そうに——なのは

解っておるんですが、

純粋に尊敬します。

 

僕も女子目線で

ものを書く場合が

多いではないですか?

 

でも勘十郎さんの

それには追いつけないし、

格が違うのですよね。

歌舞伎などの女形とも

この人のそれは

異なる気がします。

 

サイン、欲しい。

握手して貰いたい。

顔、めっちゃ恐いのに、

何であんな

遣い方がやれるんだろう。

 

文化庁のH Pで

今後、

より一層質の

高い演目をお見せするとともに、

文楽を形を崩さずに

次の世代に渡していきたい

と考えておりますので、

よろしくお願い申し上げます。

 

と、語っておられる。

 

桐竹勘十郎さん

 

ストイックの塊。

カッコいい。

赦されることなら、

求馬、あいつ腹たちません?

訊いてみたい。

 

多分、頷いて

くださる気がするのです。