お姫さまの本を出します。
５月下旬です。
マリー・アントワネットや
オーストリア妃
エリザベートなど
実在のお姫さま、
プラス、
人魚姫など架空のお姫さま。
そんなお姫さまと
まつわるお城、宮殿、
教会などの建物を
セットにしたエッセイ
『マリー・アントワネットと
ヴェルサイユ宮殿』
というふうを、30本。
プラス、
あとがきを加えた
31本からなる本で、
いわゆるノンフィクション。
イメージでいうと、
澁澤龍彦
『世界悪女物語』な感じです。
嶽本野ばら
『世界お姫さま物語』かな。
タイトルは
『お姫様と名建築』
ayumi.さんの
描き下ろしの素敵なイラストが
各話ずつ豪華につきます。
『建築知識』
という建築の専門雑誌を
発行する
エスクナレッジという出版社
（でも『日本の装束図鑑』なんて
変なものも出したりする）
での書き下ろしなので
最初、
お姫さまのことは
大丈夫だけど、
建物をどれだけ
ちゃんと書けるかなぁと
不安、一杯、勉強をし、
珍しく約１年の歳月を費やし
どうにか完成させられました。
＊僕が一冊に
半年以上かかるのは珍しい。
しかし、苦労の甲斐あって
手前味噌ながら、
これ一冊で
世界史の半分は理解出来る
といって過言で
ないものが仕上がりました。
歴史は勝者が作る。
勝った者が
自分の都合いいように
吹聴していくからです。
昔、天草四郎を
小説にした時、
資料がほとんどなく
特に反乱軍である
天草四郎達の方からの
文献が皆無に近く
驚いたことがありますが
これも、
歴史は勝者が作る――
の見地からすれば
至極同然なこと。
天草四郎らは負けたし、
島原の乱は
キリシタンの弾圧でなく
農民一揆だった
ことにされちゃっています。
そうしておかないと
マズいんですよ。
長崎の天草地方は、
2018年に世界文化遺産に
登録されましたでしょ。
そこで用いられる文言は、
潜伏キリシタン。
隠れキリシタンではない。
世界遺産として認める場所が
キリスト教を信仰したが故に
殺された人達がいた――
では登録を承認する方
（カトリック圏の人達）も、
承認がやれないんです。
だから潜伏キリシタン――。
それと同じように
歴史の表舞台の記述は
王さまのものが殆どで
そのお姫さまのことは
実は、あまり記録が
残ってないのですよね。
アントワネットくらい
有名なお姫さまでも、
実はそんなに資料はない。
だから事実関係の確認に
とても時間が
掛かってしまったのですが
お姫さまが大好きなので
どうにかやり遂げました。
『王さまと名建築』なら
多分、
途中で放り出しましたね。
お姫さまへの飽くなき
情熱があればこそ！
ネタバラシ出来ないですが、
でも、これは、
僕の作品やスタイルが
気に食わない人にも
読んで欲しいと思います。
人民が血を
流したからこそ
国が栄えたように
王さま達の陰に隠れ
時に酷い
待遇を強いられた
お姫さま達が
頑張ったおかげで
教科書に
載っているような
勝者の歴史が
存在するんです。
乙女趣味と
軽薄を装っていますが
僕には一貫として
フェミニズムの
テーマがあります。
男女同権、
セクハラ反対！
声高には叫びませんが、
川久保玲も、数年前、
自分のテーマはずっと
フェミニズムと
重い口を
開いたことがあります。
彼女のクリエイションを
みていれば
掲げるフェミニズムの
概要は掴めるでしょう。
それは、
言葉にしてしまうと
曲解されてしまう類のもので
個人が個人の行動でしか
示せないものです。
小説より
僕はエッセイを書くのが
好きというか
自信を持っています。
でも、こういう種類の
ノンフィクションエッセイは
澁澤さんのような
博覧強記がやるもので
自分は無理と考えていました。
それなのに
亀の甲より年の功ですかね。
書くことがやれました。
かなり
偏向したエピソードが
多いですが……。
とはいえ、これは
『それいぬ』の
進化版。僕の晩年の
代表作と自負します。
『それいぬ』の
サブタイトルは、
正しい乙女になるために――
ですが今回は、
正しいお姫さまになるために――
とでもするべきか？
まだ発売まで
約2ヶ月あり
細かいチュックなどが
残っているのですが
お見かけになった際は
是非、
手にとって頂きたい。
以上、たまに更新したら
宣伝でした！ ごめんなさい。
T.Nova et
