最近、放置しておったのは

新刊の為の

調べものに追われ

資料を読み漁る日が続き

こちらまで手が

回らなかったのです。

 

ブログといえども

一応作家な訳ですし

こういう文章でも

骨身を削る作業に変わりありません。

 

放置以来、著者謹呈として

頂いた本のいくつかを

紹介させて頂きます。

 

「ルビねこと星ものがたり」

野中柊 松本圭以子

 

 

 

柊さんはデビューの頃に

知り合った数少ない作家の友人です。

確か「ダリア」を出されたのと

「ミシン」を僕が出した時期が

重なっていて

パーティで声を掛けて頂きました。

以来、ずっと本を贈ってくださいます。

つるんで遊びに行っていた

時期もありましたが

随分と逢っていません。

最近は絵本を多く出されています。

もともとそちらの畑に所縁のあった方ですし

非道い愛猫家なので

ルビねこシリーズは本人も書いていて

楽しいのではないでしょうか。

「パンダのポンポン」シリーズも

ありましたが

ルビねこさんの方が

子供に媚びていない感じがして

僕は好きかもしれません。

 

 

「わたしの全てのわたしたち」

最果タヒ 金原瑞人 

 

 

 

サラ・クロッサンの詩のような小説を

最果さんが翻訳なさったものです。

といっても

最果さんに翻訳家としての

経験などあろうはずもなく

金原瑞人さんが下訳をし

それを最果さんが詩人の感性で

言葉をフィニッシュさせたという

共同作業。

祖父江慎さんのブックデザインも

フィニッシュ作業で大きな役割を担います。

本は作家が書くものですが、

各担当者が

それぞれの役割を果たし

より高次の作品へと研磨させて

いくものでもあります。(分業制度)

この本では最果さんをはじめ

携わる人全員がいかに原作のコアを

キュレーションしていけるか

を大事になさったことが伝わってきます。

かつては、僕も下訳はやるから

語調だけ整えて欲しいと依頼を受けた

ことがありましたが、

やりませんでした。

僕は詩人ではないので

そこまでの言葉のマスタリングは

やれないと感じたからです。

今なら少しはやれるくらい成長したかなとも

思いますが、その頃は無理でした。

サラ・クロッサンが僕に本を

贈ってくるはずもなく

これは最果さんから頂きました。

 

「二●二●」松井茂

 

 

 

 

松井茂さんとの交流は

「初音ミクの結婚」というCD

を作ることになった際

ミクに松井さんの詩、

「量子詩シリーズ」を朗読させたく

連絡したのが始まりでした。

現代詩の先端というのは

もう訳が解らないことになっていて

批評でも内容に関することはほぼ

語られません。

——このフォントすごいですよね。

——活版を使って印刷してあるんですよ。

——紙の薄さが絶妙です。

そんなことばっかが話題となります。

スノッブといえばスノッブなのですが

ダダ、シュルレアリスム以降

袋小路の道を敢えて選んだ詩の前線は

そこに対峙し、

そこを乗り越えていくしか

ないのです。

(どーせ現代詩なぞ売れませんしね)

7月24日、

「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う

京都市文化芸術活動緊急奨励金」を

受けて出版と奥付にある

中綴じのシンプルな冊子は、

その装丁だけ観ると

まるで同人誌以下ですが、

僕はかなり衝撃を受けました。

安っぽい外面にも拘らず、

迫ってくる表紙からの凄み、

肌を痺れさせる殺気めいたもの

すぐに捲り、

読み始め(というか観賞?)ると

五感の奥にあるものが

唸り声をあげました。

書き写すことをしても無駄ですから

それをしませんし、これを解って欲しいとも

思いません。

でも機会があれば手にとって欲しいかなと。

何じゃこれ!と怒り出しても構わないのです。

只、これに衝撃を受ける人だって

世の中にはいるのだということを

思い出して貰えるだけで嬉しいのです。

松井さんに感謝(興奮)のメールをすると

詩集としては約10年ぶりと教えられました。

その時、松井さんにいったのですが、

或るページの或る文字の上に

アブの羽根ようなものが

ぺしゃんとくっついておりましてね、

僕は数時間、これは故意の加工なのか

はたまた偶然僕のだけそうなっちゃったのか

悩んだのです。それほどに謎めいた

不具合だったのですよ。

松井さんに拠ると、単なる事故、

僕の本だけそうなっているらしい。

そこまではしませんよ——と応えられました。

 

調べものの合間を縫って、

このところ、

僕は蔵書にグラシン紙を貼る作業に

凝っております。

グラシン紙を本に綺麗に貼るのは

考えているよか難しいし

技術がいるのです。

極めてみたいと思います。

可能な限りピッタリと角も精巧に貼ってやると

本に箔がつきます。

表紙がボロくなった状態のものの方が

貼ってやるといい佇まいになります。

 

 

まだ調べものの課題が残っておりますので

今日はこの辺で。

 

 

またそのうちブログ、書きます。

 

2020.08.16 

T.Nova et

 

クザファッションの基本は可能な限りシャツの胸をはだけることである。そして安物のアイテムをインサートすることである。シャツ、パンツ(ChristianDiorMONSIEUR)ネックレス、ベルト(MILKBOY)サングラス(ATSUKI ONISHI)腰に差したピストル(大手筋のおもちゃ屋)帽子(300円でトレファクに売ってた)ロケ地:京都みなみ会館