機械のことなんぞ全く解らないので

ずっとMacユーザーですが

頻繁に

サポートセンターに電話します。

 

 

随分と前から

「それはお困りですね。お察しします」

変な前置きをしていたアップルさんですが

ここのところは

もっと人間的な応対を・・・

なのでしょう、

最後に世間話を仕掛けてきたり

「私なんかもですねぇ」

打ち明け話を始めたりなさる(笑)。

 

僕のなんて

2012型の古いやつだし

そろそろ買い替えろや・・・

思っているのは明白なのですが

それでもサポートしてくれる。

 

ちょっと前にバックアップが

ぶっ飛んで

サポートセンターに電話、

全面的に初期化することになり

そのあと、不具合がないかを

チェックしていたのですが

一昨日、iPadに同期させてある

デスクトップ上のデータが

ぶっ飛んでしまう

以前のものから

更新されていないのに

気付いた。

 

またセンターに電話するのですが

先方も理由が解らない。

しょうがないのでまたMacを

初期化しましょうということになる。

 

初期化するのは時間が

かかるので

「上手くいかなかったらまた電話を

ください」いわれ、

初期化した結果、症状はなおったの

ですが、ふと、

思いました。

 

よくこうして

あとは時間が掛かるので

上手くいかなかったらまた

電話を――いわれるけど

上手くいったなら、そのまま使うのみで、

ちゃんと動くようになりました、

サポートセンターに

報告してなかったなと。

 

コンピュータ屋さんで

働く人は基本的に

人との会話が下手だろう。

 

でも、頑張って

会話でサポートをしてくれている。

 

パソコンに不具合が起きると

こちらとしても焦るので

電話を掛けている時は

嫌な感じの

口調になっているだろう。

 

僕のように、それくらい自分で

なんとか出来るだろうという

ことで電話を掛けてくる

素人が大半で

オペレーターとしては

 

「俺、コンピュータが好きで

この世界に入ったのに、

何故、電源が入らない。

お客様、コンセントは

さしておられますか?

さしてねぇよ。

じゃ、さして下さい――

こんな応対を毎日やらされてるのだろう」

 

落ち込むことの方が多いでしょう。

 

なので、

なおったことをメールで

知らせることにしました。

 

今後の対応にも役立つだろうし

何より、

俺のサポートで

ちゃんとなおったんだ

そのオペレーターさんが安心し

よし、また明日も

サポートセンターの人として

頑張るぞ、

思って貰うささやかな

動機になったなら、

こちらも嬉しいではないか。

 

これは前にも書いた

気がするのですが・・・

 

僕は『通り魔』という作品を

上梓していますが、

それは低賃金、重労働で働いていた

若者が社会システムの中で窮地に

どんどこ、陥っていき

最終的には無差別殺人を

犯してしまう内容なのですが、

 

僕は

社会の歪みを

糾弾するつもりは

ありませんでした。

 

どんな報われない

と他者が思う

仕事、事柄であろうとも

そこに、

そこそこの遣り甲斐を

感じていたら

彼はキレなかっただろうし

孤独にもならなかった。

 

彼が己の作業に、

生きていることの、

遣り甲斐を見失った時、

彼は、

悪になるよりなかった

 

のをテーマにしたのでした。

 

しょーもない手紙が、

内容ではなく、

手紙を送ってくれたということが

次の作品を書かせる

動力になったりするし、

逆にすごく誉められても

そんなにこの人の

役には立てなかった

のだなと感じる時は、

力のなさを実感します。

 

それなのに、

なんでMac、なおりました

報告しようと今まで一度も

思い至らなかったのだろう?

 

ダメなユーザーです。

 

嶽本野ばら 2019.12.12