Christmas hate

 

友人が人を殺し、僕は共犯で、

どうやら犯人だとバレているらしい

無駄に抵抗せず捕まろうと思う——

囁かれ、僕も隠し通せるものではない

それがいいと述べるのだが、

さすれば僕も、刑務所に行く訳で、

流石にこれは母に申し訳がないと、

心底、呵責にさいなまれた。

 

——執行猶予中なので、

もう生涯、

向こうでの暮らしかもしれない——。

 

手伝った訳ではないが、

殺人での共犯だから

母も人様への申し訳なさを、

どう処理していいものか、

途方に暮れるばかりだろう。

 

——本当の本当に、

自分の軽率を、呪った。

 

夢ならどれだけ幸せかと

願ったら、

夢だった。

こんなに安堵したことは、ない。

そうして、

罪人になってしまった時、

誰でもなく、

母に——母だけに、申し訳ないと、

思えた自分に感謝した。

 

どんなに沢山の人がいても

一人一人、丁寧に応対する、

面倒臭い人があっても、誠実に向き合う

貴方は何時もスゴいですと、いわれる。

 

でも、

僕は自分のその性質がとても嫌いだ。

 

警察に捕まった時、

二回共、

母やら妹やら親族やら友人やらでなく、

読者を案じた。

 

神様という輩は、公平に

全てのものに慈愛を授けるのだろう。

僕は、そんな神様よか、

この人が幸せになれるのなら、

後の人は皆、不幸でもよいという

了見の狭い者のほうが、

立派な筈だ、と思う。

 

彼の為に、

自分は

身を引こうと決意する心情より、

彼が駄目になったとて、

私は彼を手放さないとの煩悩

のほうが尊いのだと、思う。

 

盗まれた者の気持ちを

察すると同時に

盗んだ者の気持ちを、

推し量ってしまう。

 

僕は自分の中にある

公正なシステムを最も憎悪してきた。

 

そうでしかあれない自分は、

人でなしだと、

諦めていたけれども、

どうやら、僕にも、

一人だけを特別に考えられる

人間としての、正常さが、

多少はあったということか?

 

ならば、神様よ——。

僕はあんたの仲間じゃなかった。

あんたとは、異なり、

僕は、一人の為に泣けるのだ。

たった一人の

役立たずな小さき者を贔屓する余り、

世界を滅亡させることだって、するのだ。

 

もう、僕に、

気軽に話し掛けてくるな、神様。

あんたの為には、決して祈らない。

メリークリスマス。

 

神様を仲間外れにして祝う聖なる日。

創造主への感謝なぞ忘れ、

人が人を讃えることしか

今日はしなくていい——

とても、幸せな記念日。

 

                                      2017.12.24