クレー展に、行く。
群馬まで行かねばならぬと
思っていたので
神戸に巡回してきたのものを
観られるとは、所払いにも
なってみるもので、ある。

クレーに就いて、語ろうと
する時、僕は、何も
語れなくなる。

語れないもどかしさは
憶えない。
語らなくても、いいから
語らずにおこうと
思ってしまうのだ。

僕は、芸術には
カースト制度があり
ダヴィンチもいう通り
絵画(美術)が一番
偉いと考えています。

その次に音楽で
随分と距離を開け
文学が、ある。

しかし、文学の中でも
更にカーストが存在し
一番、偉いのは
詩で、小説なんてものは
一番、最下層なのだと
思います。

だから、天才だといわれても
そんなに嬉しくは、ない。

小説家として天才であることなぞ
ユニクロだけど
+Jであるようなもので
実際のジル・サンダーや
ラフ・シモンズとは
比べ物にならない。

折に触れていうのだけれど
美術作品は
オリジナルを直接観ないと
10%も解らない。

クレーの作品は、その最たるもので
オリジナルを観てしまうと
余りに画集や図録で観るのと違うのに
驚かされる。

美術というのはそういうもの
なのです。

一体、クレーの何がスゴいのか
というと
彼の絵画における認識である。

例えば、水がある。
君はどうやって絵にするだろう?
水を描きたい時
君は海を描くかもしれないし
それが入れられたコップを
描くのかもしれない。

只、青色の絵の具をキャンバスに
塗ったのみでは
海なのか空なのか不明だし
第一、水は常に青い訳ではない。

基本的には、透明だ。

クレーは水を描こうとすれば
どのような器に水が入っているのか
を描かねばならない
ということを発見した。

デザインの思想だ。

絵画をデザインに還元したのは
マティスのほうが先だったけれど
クレーは
どのような器であるかということと
中に入った水は
全く別のものだが
水は器にいれないと描けないを知った。

それに至ったのは、クレーが
透明のもの、色も形もないものを
描こうとした為なのだと、思う。

色も形もない
もっというなら
ないけれども、ある
ものを、クレーは描いている。

僕がクレーに就いて語れないのは
当然だ。

あるけどない
そんなものは
幾ら僕が天才でも、文章に出来ない。

なにせ
+Jに
過ぎないのだから・・・。


まだ、会期日程がも少しあるので
迷っている人は行って下さい。

絵の前で、全く言葉を失ってしまう
ことの幸福を
分けてあげたい。

11月23日まで
@兵庫県立美術館
携帯HPの割引ページをみせると
100円安く入れます。

最後に、今回の展示でのお気に入りを記しておきます。

35 「三人」で遊ぶ
70 都市の境界
74 透視——遠近法的な
77 結晶化
86 腰かける子ども
94 何が足りないのだろう?
105 戸棚
106 星の天使

特に「星の天使」はすごい!!!!
本当に、すごい!!!!!!!!!
すごいんだからーーーー!!!!!