新作を書き終えて暫くしたら
精神の調子がすこぶる悪くなった。

嘔吐、全てのことに関して
ネガテイヴな感情が支配する。

その感情からの恐怖はとても恐ろしく
もう自分は再生不可能なのだという心理から
逃れられない。

このまま気が違ってしまうのだろうか。

ネガティヴな感情は文字となって
頭の中にうごめく。
たかが文字なのだから恐くないと思えば思う程に
その文字の支配は巨大化していく。
自分を苦しめるそれが、しかし、一体、何と書かれて
いるのかを僕は知らない。
読めば、今以上にその文字のいう通りになってしまう。
そのことだけは確実だ。

長い恐怖におののきながら、やがて
その文字は言葉ではないのではないかと思う。
文字にみえるがイメージでしかなく
そこに書かれている文字なぞない。

そう思うと、恐怖心が少し緩まった。

昨日は医者に罹れなかった。
不安が強過ぎて、病院に辿り着いついたが
話が出来ず、帰ってきてしまった。
今日、また病院に行った。
どうにか、主治医に自分の状態を話すことが出来た。

医師は薬を飲んでみないかという。
極限状態の緊張感が貴方を支配している。
これは少しの薬で治る。
恐怖が出そうだと思ったら飲みなさい。
恐らく職業病のようなものだ。
統計的に貴方のような症状は作家に多くみられる。
ドストエフスキーも同じだったと思われる。
余りに桁外れな集中力の持続が貴方を緊張させ
おぞましい不安へと導くのだ。

医師よりもらった頓服を飲むと
恐怖心や不安感が一定レベルまで下がった。

書かなければいいということなのだろうか。
よく解らない。
しかし書かなければもっと非道くなる予感はある。
ようやくパソコンに向かえた僕は
出来上がった中編をプリントアウトした。

読み直し、校正を入れ
今月中には完成させたい。