寝ているとチャイムが鳴り、宅配だと思って出たら警察官だった。
世帯調査のようなことをしているので
書類を書き込んで欲しい
しかし個人情報なので、こうして一軒ずつまわっているという。

住所や緊急連絡先などを記したものを
書いて渡すと、職業欄に警察官は眉を曇らせる。
「文筆家って何ですか」
とわれる。
小説を書いたりしますという。
大体、こういう時は、ならば小説家と書けばいいというような
反応をされるのでそう書こうかどうか迷うのだけど
確定申告の時には文筆家なので
そのほうが正しい気がしてそう書く。

が、そもそも職業を人にいうのが未だに慣れない。
どちらかというと、嫌だ。

文筆家でも小説家でも何でもいいのだが
それって仕事なのだろうかと、思う。

小説、文章を書くということは
何をする作業でもない。
敢えていうなら考える作業で、それ以外のことを
この仕事はしない。
上手い文章を書けるから仕事になっているが
上手かろうが下手だろうが、頭しか使わない。
培った技能の必要が、これといってある訳でもない。

誰だって某かを常に考えている。
僕だって小説を書いていない時は
それ以外のことを考えている。

(でも人以上に考えているかもしれない。
このようなものは比べる術を持たないけれど
僕はかなり考えることが好きだ。隙あらば考えている)

ならば単に考える作業というものが
仕事として成立するのだろうか?


結果、文章を書くことを仕事にしているということは
無職といっているようなものだと思わされる。

誰かにこのようなものを書いて頂きたいと乞われ
書くのであれば仕事のような気がしないでもないのだが
大抵は、自分が書きたいものを書いていればいい。
こういうものをお願いしますといわれても
このような過程からこのような結論にいたる文章を
作って欲しいとはいわれない。

だから何だか、何時も申し訳ないような気持ちで生きている。
何かちゃんと仕事をしなければとも思ってしまう。

でも出来ないので、きっとこのままなのだろう。
そう思うと大抵、少し、落ち込んでしまう。