サイン会、顔、そんなに青かったですか??

心のバランスが崩れたりはしましたが
体調は大丈夫なので、安心して下さい。

実をいうと、昔よりも少し太ってます。
歳も歳ですから、いわゆるメタボというやつかもしれません。

ああ、情けない。。

昔は書いたらすぐに本にして貰えましたが
最近は、余り売れなくなったこと
出版社自体がずっと赤字続きなことなど
いろんな要素が加わり、出版まで漕ぎ着けるのが非常に
難しくなってしまいました。

仕方のないことです。
そもそもが万人受けするものなど書いていないし
ベストセラーになるようなことなどないのは
承知しているので。
只、やはり出版社は売れるものを望みます。
それが辛いなぁとは思います。

とはいえ、僕程に幸せな作家はなかなかいないと
今回もサイン会を終えて、ひしひしと実感しました。
野ばらさんがいるから生きていけますとよくいわれますが
貴方がそう思っていてくれるから僕は未だに書き続けられるのです。

もうメジャーデビューから14年です。
文章を生業とするようになってから20年以上が経ちます。
出版社の思惑にげんなりし
何度、やめようと思ったかしれません。
でも、出版社の為に書いているのでもなく
お金儲けや自分の社会的地位を高める為に書いているのでもなく
貴方がまた読んでくれて、それで元気になってくれるのだと
思うと、書くことをやめられませんでした。

昔の嶽本野ばらはよかったと、よくいわれます。
今の嶽本野ばらは駄目だと批判されます。
そうなのかもしれません。
今の僕には「世界の終わり~」や「エミリー」
のようなものはもはや書けません。
でも何故、書けないのかというと
今の自分に正直でありたいからです。

求められる、同じようなものを書き続けるのは簡単です。
しかしそこに心がないのなら
それを僕は貴方に読んで欲しいとは
図々し過ぎてとてもじゃないけれども、いえやしません。
気に食わないかもしれませんが、
今の僕に書ける、今の僕にしか書けないものを
僕は貴方に送る他、ないのです。
今はつまらなくなったと思われても
きっと五年、十年後に読み返してみれば
ああ、あの時、野ばらちゃんはこういうことを
伝えたかったんだと貴方が解ってくれると
勝手に信じ込んで、僕は今の僕の物語を貴方に手渡しています。

文章が達者である分、届ける方法は無骨であっていいと
思っています。
スマートな遣り方は余り好きではありません。
どうすれば貴方が泣いてくれるのか
なんてことを考えて書くのは嫌だから
したくはないのです。

そんな青臭い考えでは職業作家としてやっていけないと
いわれます。
だけれども、理想を第一に生きなければ
僕は生きている気がしないのです。

誰もが理想を第一に生きられる訳ではありません。
殆どの人は理想よりも現実を選択するより
生きる術をもたないでしょう。
ですから尚のこと、僕くらいは綺麗ごとをいって
生きていたいのです。
貴方が理想に生きられないのなら
貴方の理想も僕が背負って生きればいいではないですか。

その為に選ばれたのだと思うのは
余りに傲慢でしょうか?

振り返れば、沢山の人が志を半ばにして
敗れ去っていきました。
ライターをしていた頃から
美術、音楽、文芸に限らず
生活が出来ないという理由で前線から
遠のいていく人達の姿をみてきました。
生活の為に自分の思惑と違うことをやるしかない
と諦め、納得して生き続けている人も
沢山、知っています。

だからこそ、僕は最後の最後まで
己を貫き通したいのです。
負けたくはないのです。

勝ち続けることは出来ないのすが
負ければまた挑む。
それを繰り返したい。
少しずつでいいから、理想に向かって歩んでいきたい。

幸いにして、僕の周りには
そんな人達ばかりが集っています。
多くの人には認められなくても
たった一人でいいから理解してくれる人がいるなら
やり続けるという人達だけが
気付けば、一緒にいてくれていました。

昨日、十枚、書きました。
何処で発表出来るのか、果たして本になるのか
まるで見込みはたっていませんが
書かずにはいられませんでした。
明日も何枚書けるか解りませんが
その続きを書きます。

保険が切れてしまい、払いたいけども
暫くは支払う余裕がなく
お医者さんに行けないので
睡眠薬が貰えず過ごしているので
最近は遅く寝ても、早朝に眼が醒めます。
ですから、近頃は朝から原稿を書くようになりました。
結果、妙に健康的な毎日です。

こんな日々も悪くないと思います。
長くサイン会をしなかったもので
一体、何の為に、誰に向かって書いているのか
解らなくなってしまった時期もありました。
でもまたサイン会をして
自分が書き続ける理由が明確になりました。

きっと、僕のほうが貴方に依存してしまっているのでしょうね。

6月に新刊が出ます。童話です。
とても変な童話です。
秋にも小説が出る予定です。
本当は、文芸誌に掲載する予定のものも
出来上がっていて、随分と前に渡してあるのですが
余りに長い話なのでまだ編集者が眼を通してくれてなく
そちらのほうは何時にどうなるのか予定がみえていません。

いたずらに長くなってしまいました。
貰った手紙を読んでいたら返事が書きたくなり
でも一人ずつに返事を書く訳にもいかないので
換わりにここに書くことにしました。

お礼がいいたかっただけだったのですが
おかしな内容になってしまいました。
お赦し下さい。

では、また。