千住フライングオーケストラを体験した後
僕は決意しました。

これまで僕は、そう、もう物心ついたことからです。
芸術と思想(もしくは思考する)以外
に興味はなく、ずっとそれを繰り返してきました。

実際に芸術家として絵画作品を発表しだしたのは17歳か18歳からです。
それ以降、僕は音楽や文学、演劇、さまざまな活動にトライし
芸術作品を作ることのみに没頭してきました。

30年にはなりませんが、それに近い年月、創作に全ての人生を捧げてきました。

ですから誰よりも美しいものを観て
美しい文章に触れ
美しい絵画を観て、美しい音楽
芸術を体験してきたといいきることが出来ます。

以前は、もし自分の眼がみえなくなったら
耳が聴こえなくなったらどうしよう。
そうすればもう芸術作品を作ることが出来ない
と常に恐怖していました。

が、これだけ誰よりも美しいものを体験してきたのです。
まだまだ知っていない美しいものが沢山あるのは解っていますが
人間としてもうそのデータバンクは一杯です。
なので、もし、これから新しくまだ知らぬ美しいものを見聞することが出来なくなっても
もう、構いはしないのです。


今までに脳の中に蓄積した膨大な美しいもののみでこれからの僕は充分、
生きていけます。
もはや生を想う時、死へのカウントダウンのほうが近くなってしまったお年頃です。
ですから、これはやけになって絶望してネガティブになったが故の考えではありません。

聴覚も視覚も失ってしまったならば、もはや作品を世界に送り出すことは出来ないでしょう。
しかし、脳味噌、思考が正常に機能する限り
作品は皆に向けて送り出せないものの
自分の頭の中では、ストックした美しいものの記憶を組み合わせ
脳内でずっと新しい芸術を制作していけるのです。

ならば、何の問題もないではありませんか?
脳がクラッシュしない限り僕は頭の中で死ぬまで芸術作品を作っていきます。

但し、現在の僕は「金融の要」という小説と「傲慢な婚活」という作品を書いていて
これが完成するまでは、この世界に送り出すまでは
そのような状態になりたくありません。
また「新潮」に発表する予定で長年掛かって書き進めている長編も
完成させられるまでは、小説を書くという作業を中断したくありません。
更にいえば、6月予定で動いている総合純粋芸術作品が完成するまでは
眼も耳も身体も失いたくありません。

これらが無事、作り上げられれば、もう何も望むことはない。
眼も耳も身体も、いりません。生活の全てを放棄することになっても構いません。

ですから、お願いです。これらの作品が完成するまでは
僕をなんとか、生かしておいてもらえないでしょうか?
毎日、ない袖はふれないのに多数の借金会社から金を返せと
朝から晩まで電話がはいります。
それに耐え切れず、ノイローゼ、いっそ死んでしまおうかとも思います。
恐くて、不安で、眠れない日々が延々といまだ続いています。
死ねば、生命保険には入っていないのでそれで借財がちゃらになることはないのですが
これまで発表してきた作品の著作権があります。
それを分けて頂けば、返済は充分に出来るでしょう。
なので、死なずとも、網膜を売れ、鼓膜を売れというなら売りますので
今、進行中の作品が完成するまではどうか待って頂けないでしょうか。
別に金貸し——が、僕一人、彼等からすれば些少の額である月々の支払いを滞ったところで
会社が潰れるなんてことはないでしょう?

月々の支払いが滞れば、電気代も払えず、ご飯を食べることも出来ず
製作中の作品を世に送り出すことが出来なくなります。
そんなこんなですので、6月までは、お金がなくなればお金を貸して下さい。
貸せなくても、どうにかして、最低限、創作活動が出来るだけのお金を工面して下さい。
僕は金が有り余っている時でも芸術の為にしかお金を使ってきませんでした。
女子にもてたいだとか、人より優位にたちたいとかという私利私欲の為に
散財したことは一度もありません。
神にかけて嘘は吐きません。

僕の創作に少しでも価値を見出してくださるなら、この願い、聞き入れて頂けないでしょうか?

芸術家として生き、芸術家として死んでいきたい。
僕の願いはそれだけです。
名誉も羨望も芸術活動に必要なもの以外はもはや何もいりません。

一体、誰に向けてこんなことを訴えているのか解りませんが
もし貴方が芸術の力を信じてくださるなら、カロリーメイトを買ってくれるだけでもいいのです。
どうか、今、進行中の作品を最後まで書き上げる為にささやかな協力をしてはくださいませんでしょうか?

僕は芸術の力を信じています。
それが少しでも誰かの為に機能することを信じたいのです。

更にいえば自分が若い頃から赤貧でも芸術を捨てなかったことに何の後悔も抱いていません。

芸術で儲けようなんて奴は屑です。
芸術は全ての人々の為に無償で提供されるものである筈です。

嗚呼、こんなことを書くつもりはなかったけれど
フライングオーケストラを体験して、書かずにはおられなくなりました。

どうか、失笑して下さいまし。

僕はバカです。

それでも僕は自分の生き方に誇りを持っています。

乱筆乱文、失礼いたしました。

てなわけで、最悪、僕がたった一万円の工面がつかず自死してしまっても
悲しまないで下さい。
僕は芸術家としてちゃんと生きてまいりましたので・・・。