居酒屋にはいろんなお客さんがやってくる。特に土曜は遠方の人も多く、今日は大阪から博多へ旅行にきた父親72歳と娘さんの2人連れがやってきた。
店の外の看板をながめていたので、すかさず【引き込み】作戦を開始、それが奏功し『2名様ごあんな~い♪』。
注文を取っていると、なにやら違和感を感じる。よく来る観光客とは少々雰囲気が違う…それに料理への要望が多い。
「水炊き食べたい」「辛いのダメ」「うすあじ希望」…
好き嫌いが多いのかと思っていたら、なんとガンを患っているので刺激物にお酒は完全アウトとのこと。(でもビール飲んでました)
余命5年と言われてから残された時間で親子旅をしている。同伴に奥さんがいない理由は聞けず。もしかして…
親父さんは大阪人気質なのか悲壮感はまったくなく、私と橋下市長の話で大いに盛り上がった。
その親子と話していて連想したのは、過日放映されたスティーブ・ジョブズのドキュメンタリー。2005年のスタンフォードスピーチでは死にまつわる話もした。
その時ジョブズはガンに侵されていた。
死を目前にすると煩わしいことを気に病むことがなくなり、やりたいことにますます集中する、というような内容だった。だから若いあなた達(スタンフォードの卒業生)も、いつかは訪れる死を意識して自分の本当にやりたいことをしなさいと。
10年以上もガン検診を受けていない私は、死というものの実感はさらさらない。今調べるとガンのひとつも見つかる可能性は大だけどね。そういう歳だし。
そうでもならないと死は意識しないかも知れないが、ジョブズのスピーチといい、今日の親父さんといい、今の私が本当にやりたいことはなんだろうと考えさせられましたよ。居酒屋はとても楽しいけど、現状のままではダメなんだよな~
親父さんができるだけ長く、元気で娘さんと旅ができることを祈る。