珠洲に立ち、言葉を失う
ブログの更新が滞っておりましたのは──
移動つづきだから?
仕事が詰まっていたから?
たしかに、それもあります。
けれど、ほんとうの理由は、そこではなくて。
奥能登、珠洲へ。
大地震、大水害──
そしてその爪あとが、いまも残る地へ。
寸断されていた道路は、
おおむね通れるようになっていました。
けれど──
干上がったままの漁港
雲ひとつない青空
どこまでも煌めく海
若葉の光を透かす、新緑の木々たち
その景色が美しければ美しいほど、
「復興」という言葉を使うのが
申し訳ないような氣持ちになってくるのです。
ぺちゃんこに潰れた家々
岩と土砂に埋もれた道路
更地となった、かつて市場のあった場所
崩れ落ちた鳥居、倒れた狛犬
耕されぬままの田畑
看板を下ろしたままの店々
輪島 朝市通り
そんななかでも、
誰かのために、と
なんとか営業を再開した小さなお店が、ぽつりぽつりと。
この地を離れた人たち
この地にとどまった人たち
──どちらも、勇氣ある選択。
のと里山空港の搭乗待合室。
パソコンブースの隣に座った男性が、電話の向こうに語っていました。
「復興、九割くらい進んでるんですか?
そんなこと聞いてくる人もいるけど……
僕に言わせたら、三%ですよ!」
そう、訪れてみれば、わかります。
ほんとうに、ほんとうに、
復興は、まだ “三%” にすぎない。
そのわずかな歩みのなかで、
今日を、今を、懸命に生きている奥能登の人々がいます。
私にできたことといえば──
立ち寄ったお店で、
能登の品をひとつずつ、丁寧に手に取って買い求めることくらい。
それでも、
それでも──
「共に在る」という氣を添えて。
ワカバサク ヒカリノサキニ イノチアリ
ヒトハカナシミ コエテマイリヌ




