熱中症と断捨離と。 | やましたひでこオフィシャルブログ「断捨離®」Powered by Ameba

熱中症と断捨離と。

暑中お見舞い申し上げます。

 

 いえ、こんな言葉が虚しく響くこのところの暑さ。まさに、酷暑、熱暑、暴力的な暑さです。実際、この身の危険に迫る暑さので、生命<いのち>を落とすケースが後を絶たない。

 

 そうですね、「熱中症」での死亡報道を見聞きするたびに、これは「事故」なのか、それとも「病気」なのか、どちらなのかと頭を傾げたくもなるというもの。

 

 もしも、熱暑対策を万全としておけば防げた死亡であったならば、やはり、事故だったのか、と言わざるを得ないでしょう。

 それしても思うのは、かつて盛んに、電力不足、夏季節電が呼びかけられていた時。それはつい数年前までのことで、決してひと昔の話ではない。

 

 エアコンの設定温度と外気温との差はマイナス2℃に。過度のエアコン使用は控えて冷房病対策を…等々の御達しを思い出す。

 ところが今は、パタリとそれが止み、エアコン使用が推奨されている。それは見事な変わり身。とはいえ、それも当然のこと。冷房病での死亡報道は聞いたことはないけれど、熱中症での死亡報道は毎日のようになされているのだから。

 

 そして、電力不足の報道もすっかり姿を消してはいるけれど、この国のこの夏の電力事情は、どれほどまでに改善されているのか、どうなのか、と少しばかりの疑問も湧いてくる。

 

 いずれにしろ、今は節電より、冷房病より、熱中症へ関心が移ったということに他ならない。

 

 さてさて、以上は前置き。

 

 やはり、ひとり暮らしの高齢者が自宅で熱中症で死亡している、あるいは、救急車で搬送された、等々の報道に触れるのは胸が塞がる思い。いったい、この高齢者たちはどんな生活をしていたのだろうと、つい考えてしまうから。

 

 おそらく、ただでさえ老化で温度感覚が低下しているにもかかわらず、室内に留め置いてある大量のモノの山の中での暮らしは、それを助長させてしまうはず。大量のモノの堆積で風通しは悪く、設置されているエアコンの効き目も低下するのは必定。なにより、エアコンの維持管理も十分ではないだろう。

 

 そして、そんなモノの山が跋扈している生活空間は閉塞的閉鎖的であり、地域の人たちが関わろうとしても、それを拒絶するかのような状態。あるいは、関わろうとする気持ちを大きく萎えさせるに違いない。結果、老人たちの生命の危険は見過ごされていく。

 だからこそ、断捨離がいちばん必要とされるのは、この独居老人の住居であるのだけれど、同時に、断捨離に一番抵抗を覚えるのもこの人たち。なぜなら、彼らにとっては、モノ、すなわち、自分の生命だから。

 

 長生きすることは、すなわち、モノを溜め込む期間が長く、結果、堆積させた量も半端ではなくなる。そして、自らが溜め込んだモノたちで、捨てることを拒んできたモノたちで、生活環境を悪化させているとしたら。しかも、周囲の援助を遠ざける結果を招いているとしたら。

 

 その挙句の果て、落とさなくてもいい生命を、熱中症で落としているとしたら。これはもう、残念を通り越した無念、悲劇と言うしかありません。

 

<yahoo!ニュース JAPAN やましたひでこ>

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