ここまでノロウイルスによって台無しにされたわしの大型連休だが、残り2日となった今日も行楽に出かけることはできなかった。なぜならノロから回復したのはわしだけで、おかんは依然としてめまいがして動けんらしいのだ。病人を置いてバイクで遠出する気にもならんが、かと言ってわし自身もこうして家でボーっとしてるだけではストレスを抱えるだけで、明後日からの仕事に障りそうな気がした。
だからおかんが食べられそうな物をバイクで買いに行くことにした。
おかんの希望の中に「ランチパックのシュガーマーガリン」などという具体的な固有名詞があったせいで行くスーパーも限られた。とりあえずピーコことPCX160に乗ってランチパックを多く扱っている市内のスーパーへ向かった・・・のだが、実はこれが無駄だった。帰ってから気付いたのだが、山崎パンの公式サイトを見たら、販売エリアが今は北海道だけになってるんだよな。ここ岡山だし。
行く前に見りゃよかった。
代わりに買って帰ったランチパックの苺ジャムマーガリンは、マーガリンの味が苺に押されているらしく不評であった。
わしもからあげ弁当は6割ほど口にしただけで残してしまった。きっとわしも体力が回復しているだけで完治はしてないんだろうなぁ。
スラクストンを30分ほど走らせて戻ってくる時、家の近くで町内会長らしき男とすれ違った。うちの隣家に用があったのだろう。
まあ町内会を退会したうちにとってはもうどうでもいいただのオッサンだが、顔を見るとやっぱり不愉快な気持ちにはなる。
でもおかんはこのオッサンを「ある意味では被害者」だと言う。
聞けば、わしの知らないところで一悶着あったらしいのだ。
わしがまだ小学生の頃、1つ上の学年にさぶろうの息子という者がいた。
このさぶろうの息子、勉強の方はからっきしだが性格はとても穏やかで、ケンカっ早いわしと違っていつもニコニコ。怒っているところを見たことがないほどだった。
しかし、このさぶろうの息子の父親が長年の時を経て、うちのおかんの怒りの導火線に火をつけたらしいのである。
わしが町内会に不信感を抱くきっかけとなったのが
1.町内会の要職を3年連続で当てられたこと
2.謎の祠掃除など無駄な職があまりに多すぎること
3.二世帯で任されていた職務を半日つぶして頑張ったわしとおかんへの労いは一切無く、参加すらしなかったもう一方の家族はなぜか不問とされたこと
4.よそからの流入者にあまりに不親切であること
の4つであるが、実はそれ以前におかんが嫌がらせを受けていたらしいのだ。さぶろうの息子の父に。
こいつは昔からうちを煽るような言動が多く、おかんは腹立たしい思いを何度もしてきたのだという。
だからおかんはわしが小学生の頃からこの町内会の闇に気付いていたらしい。
まだ3つ4つの幼い愚妹が高熱を出し、おかんが懸命に看病していた時、町内会の役員が鬼の形相で家までやって来て「そんな子供の発熱なんか放っといて今すぐ宮の掃除に行け。どっちが大事かわからんのか!」と怒鳴られたのだという。
「あの時の男がどいつなのかわからんけど、とんでもないやつがいるんだよ、ここには」
おかんはそう当時を回想して唇を震わせた。
そう言えば去年おかんと公民館の草刈りに参加した時のこと。上から目線のじいさんに唐突に言われた。
「そう言えば来年の年番長はあんたじゃけえ、しっかりやってよな。」
「年番長は何をするんですか?」と尋ねたら「近所の人に聞いたらええが」と冷たく一笑された。
後でおかんが教えてくれた。
ヤツこそがさぶろうの息子の父であると。
なるほど。
さぶろうの息子はさぶろうの息子の父とは似ても似つかぬナイスガイだったのだなぁ。
ここまで聞いて、あの町内会長もある意味で被害者だというおかんの解釈も強ち間違いではないと思えた。でもまあごめん、もう仲良くはできないと思う。嫌いな顔になっちゃったもの。

