デンマーク・ハンドボール観察日記 -60ページ目

FCKチャンピオンリーグ戦

FCKの、チャンピオンリーグ第一ラウンド最終戦を観に行ってきた。

FCKはグループ内で4位だが、相手は5位のスウェーデンのチームで、アウェイの試合で大勝しているので、負けはしまいだろうと思っていたが、一応この試合で勝つことが、次の上位16チームのトーナメント戦に進出できるかどうかの条件になっていてシリアスな試合ということになっていたので、テレビでも放映されることになっていたが、コペンハーゲンまで観にいくことにしたのだった。 

 

しかし、前半戦は最後の数分をのぞいて、ミス連発で予想外の苦戦を強いられた。特に、右バックのVukasin Rajkovicから右ウィングのAnders Christiansenへのパスのミスが3回連続で起こった時には一体何が起きたのか?と思ってしまった。

しかし途中から、主要メンバーを外し、いつもはそれほど出ないむしろ手慣れていない選手に変えてから、意外にも風向きが変わり、FCKも徐々に息を吹き返してきたが。

特に、半年ほど足の故障で戦線離脱し今日復帰したばかりのラインプレーヤーPelle Lindergsが、ほかの人がシュートしそこないゴールキーパーから跳ね返ってきたこぼれ球をひろってのシュートを続けて決めたときにはFCKにいい雰囲気をもたらしたと思う。というか、結果的にPelleがこの試合で最高得点をあげ、復帰一日目にしてこの活躍ぶりにうれしくなったが。とはいえ、Pelleは去年の9月ころにはすでに今シーズン限りで引退してスウェーデンに戻ることを公言していたのだが。

 

後半はまったく危なげなくFCKが常に5点前後リードしながら推移していき、結局3126でFCKが勝ち、トーナメント戦進出が決まった。

とはいえ、4位なので、対戦相手は4グループの1位になったチームのいずれかであり、つまり、フランスの強豪Montpellierか、Veszpremか、ドイツの強豪Kielか、こないだ8点差で負けたReal Ciudadか、と、どんなくじでも到底勝てそうもない相手になることが決まっているが。

ちなみに、Barcelona相手に引き分けと検討したKoldingも、ポイントは同じなのに獲得点差でわずか1点差で4位になってしまい、FCKと同じく準々決勝に進むのは難しそうであるが。

 

しかし、試合あとにインタビューを受けたKasper Hvidtいわく、4日前にあったAGのオーナーの会見が選手たちに動揺を与えたとのこと。

うかつにも、わたしはその会見のことを知らなかったのだが、FCKが吸収合併されるAGのオーナーは、当初はFCKで来シーズンも契約が残っている選手は引き続き新生AGコペンハーゲンでプレーできると言っていたのに、ここにきてそのことばを反故にし、やはり1617人にしか予算がつけられないことを告白、いきなりFCKの選手全員が来シーズン解雇の不安を抱えることになったという。

合併することになったのに、次から次へと別の選手と契約していったのでおかしいとは思っていたけど、やはりそういう心づもりだったのか、、と。

合併しても、結局ライセンスの関係上、FCKが1位か2位になってもチャンピオンリーグの出場権はそのままAGコペンハーゲンには移らないことになったし、今となっては合併する意味はなくなったのかもしれない。

というか、どんなにがんばって結果を出しても、来シーズンに何も反映されないのは選手にとってもせつないにちがいない。

 

ナショナルチームの監督Ulrik Wilvekは、GOGも破産宣告で消失したし、FCKも一部のAGに吸収合併されることになったし、財政状況が悪化しているデンマークのハンドボールリーグに従来のリーグ14チームは多すぎるとして、12チームに減らすべきなのでは、と発言したそうだ。

 

しかし、GOGの元選手たちは、行き場を失い、中には一部のチームに移籍する人も結構いたり、あるいはアマチュア選手としてリーグのチームにいさせてもらう選手もいるなどハードな状況をもたらしたが、FCKの選手たちはどうなっていくのだろうか。

AGコペンハーゲンの将来を楽しみにしながら、同時に1年間FCKを応援してきた身として、やはり選手たちには思い入れがあるし、希望のある未来がくるよう祈らざるをえない。

Kolding 対FC Barcelona

今日は、娘のバスケットの練習がVirum Hallenであったのだが、練習の前にそこで子供向けのハンドボールのアレンジがあり、子連れでAGの監督Klavs Bruun Joergensenをみた。息子さんは、前までFCKのユニホームを着ていたけど、今日はAGのユニホームを着ていた。

 

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今日は、テレビでだが、チャンピオンリーグ戦KoldingFC Barcelonaの試合を観た。

2週間前のKiel戦で15点差だかで大敗を喫したので、グループでKielをもこえて1位につけているBarcelona相手だったらなお大差をつけられるようなつまらない試合になるのでは、とも思っていたが、予想に反して最後の最後までエキサイティングな試合になった。

 

まぁKoldingは、アウェイだと不思議なくらい弱くなったりするのに、ホームだとものすごく強くなるチームだったりするので、今日はホームでの試合で普段以上の実力を発揮することができたのかもしれない。

一度、Koldingまではるばる3時間かけて試合を観にいったことがあり、あまりの観客の熱狂ぶりにたじろいでしまったが、こんな観客の応援が意外にも選手にとって大きな支えになっているのかもしれないとも思った。

逆に相手チームにとっては非常にやりにくかったりするのだが。Barcelonaも今日は調子が悪かったとコメントしていたが、この観客の雰囲気に影響を受けてしまったのかもしれない。ちなみに、Kielとの試合でも、Koldingでは引き分けだったのだ。Kielでは大敗であったにもかかわらず。

 

結果は、引き分けであったが、Koldingにとってとても内容のいい試合であった。

ただひとつ、わたしの好きなRene Toft Hansenが一度もシュートを決めなかったのが不満であったが。

 

今日の一番の立役者といったら、やっぱりキーパーのAnders Petersenといえるだろう。


デンマーク・ハンドボール観察日記-Anders Petersen

今日は、KoldingのディフェンスもとてもしつこくてBarcelonaになかなかシュートをうつ隙を与えず非常によかったが、Anders Petersenもヒヤっとするところで何度もシュートを防ぎとてもいい活躍をした。

こないだのチューリッヒ戦でも勝ったのはAnders Petersenのおかげといえるほどの防御率の高さで、なかなかいいキーパーだと思う。

デンマークナショナルチームの候補にあがることもあったが、なかなか出場する機会を与えられずにきたが、Kasper Hvidtも辞めることになったし、Niklas Landinだけでは心もとないしAnders Petersenなんかいいんじゃないの?と思うのだが。

 

あとはBoris Schnuchelもよかった。

難しいかな、と思われるような左ウィングからのシュートを必ず決めてくれた。


デンマーク・ハンドボール観察日記-Boris

 

あと挙げるとしたらAnders Oechslerであろうか。

前半、Barcelonaのディフェンスの壁が厚くてなかなか得点できないところを、パスに見せかけたフェイントシュートやオーソドックスなジャンプシュートなど立て続けにシュートを決めたことによってKoldingに風向きを変えることができたと思う。


デンマーク・ハンドボール観察日記-Anders Oechsler

 

もちろん、トップスコアだったBo Spellerbergと、Kasper Soednergaardも素晴らしかったが。Bo Spellerbergはもともと高い技術をもっているのだが、今日も360度回転で相手を捲く技を何度か決めてくれた。Kasper Soendergaardは最近弱気な姿勢がみられ、なかなか自分でシュートをしたがらなかったが、今日はディフェンスの壁を無理やり破ろうとしてまでシュートをしようとしていた。

 

Rene Toft Hansenは、、、ディフェンスはとてもよかった。相手の動きによくくらいついていたし、よく相手をホールディングして攻めのテンポを狂わせていたし。でも、攻めに関しては、ボールを受け取れないし、受け取れるような状況にもできないしでまったくシュートをするチャンスはなかった。

これで、Michael Knudsenの故障の代替になれるんだろうか、、と思った。世界選手権の予選まであと3か月しかないのに。でも、ほかにラインプレーヤーがいないという状況の中で、攻めに関して成長してくれたらと思う。

 

ちなみに、Barcelonaにはデンマーク人選手が3人いて、その3人全員来シーズンからデンマークのクラブに移籍するのだが、そのうち2人、Mikkel HansenJoachim BoldsenAGコペンハーゲンに移籍し、Rene Toft Hansenともチームメートになる予定なのである。

監督がKlavs Bruun Joergensenで、選手がMikkel HansenJoachim BoldsenRene Toft、さらにKasper HvidtLars Joergensen、、、改めて豪華なチームになるなぁ、、と思った。本当に夏明けが楽しみである。
デンマーク・ハンドボール観察日記-Mikkel Hansen
Mikkel Hansen

デンマーク・ハンドボール観察日記-Joachim Boldsen
Joachim Boldsen

デンマーク・ハンドボール観察日記-Joachim og Klavs
JoachimとKlavs Bruun Joergensen

ナショナルチームから2人引退表明

1月のヨーロッパ選手権でナショナルチームから引退するとKasper Hvidtと表明したあと、親友で守りの要であるLars Joergensenもほのめかしていたが、昨日正式に引退を表明、同じ日に、2番手ラインプレーヤーであるTorsten Laenも引退すると表明した。

監督のUlrik Wilbekはいずれも引き止めはしなかったものの、主要メンバーが次々脱退したことで、来年の世界選手権に出場できてもメダルは無理であろうと心情を吐露した。

これからしばらくデンマークチームは、長いこと黄金時代を築き2002年のヨーロッパ選手権で金メダルを獲得したのを最後に以降一度もメダルを獲得できていないスウェーデンチームと同じく、厳しい時代に入っていくだろう。 

というか、ヨーロッパ選手権を最後に引退すると決めたKasper HvidtLars JoergensenTorsten Laenいずれもこの10年以上のキャリアをもち、デンマークの一番の黄金時代を形成し、もっとも希望に満ち溢れたときにプレーしていたからこそ、今回準決勝にすら進めなかったという結果に心底失望し、もうこの先はないと判断して辞めることを決めたのかもしれない。

まぁそのきもちはよくわかるが。本当に希望がないときほど苦しいときはない、というか。

 

その中で、Ulrik Wilbekは、これから重要な役割を担っていく人物として、わたしが注目しているRene Toft Hansenを名指ししている。

Lige nu og her, så er det jo oplagt, at en spiller som Rene Toft Hansen, som både er stregspiller og midterforsvarsspiller, bliver opgraderet og kommer ind på holdet og skal styre forsvarsspillet sammen med Kasper Nielsen, siger Ulrik Wilbek til DR Sporten.

 

注目しているとはいっても、まだまだ発展途上で、ディフェンスはともかく、オフェンスはまだまだでもっとボールの受け取りが上達してほしいと思うが、一番手ラインプレーヤーであるMichael Knudsenは膝の手術で6ヶ月間の休養を言い渡しており、少なくとも6月の世界選手権予選のスイス戦には間に合わず、その重要な試合にRene Toftが一番手ラインプレーヤーとしてプレーしなければならない。

 
デンマーク・ハンドボール観察日記-Rene 2
Rene Toft

 

こういう苦しい状況にあるときこそ、若手がのびていって欲しいと思う。