今日のBARロンタシーは大忙し。


カナヤンとちゃんまりの
結婚式の二次会の会場になっているので

朝っぱらから早く来て
シンタロさん、私、マイムちゃん、
3人でバタバタと準備をしている。



「シンタロ、新郎新婦はどこに?」

「あそこの席にするよ」

「そしたらビュッフェスタイルにした方が
良さそうじゃない?」

「ああ、そうだな」


マイムちゃんは結婚する前に
ウエディングプランナーの仕事を
していたらしく、大張り切り。


シンタロさんはお花屋さんから
可愛らしい花を仕入れてきて
器用にテーブル装花を作っている。


私もカナッペやらローストビーフやら
ピンチョスやらデザートやら
手作りメニューで大忙し。


こんな時、お料理上手の人が
いてくれればなあ…

ヤタベェとか。


あいにくヤタベェは
外せない仕事があって
二次会には参加できないらしい。



まあ、

会いたいような会いたくないような
そんな感じだったので
私的にはラッキーだったのかな、と思う。





準備万端で二次会が始まり

パーティーというよりは
新春かくし芸大会みたいな
有志の方々のお披露目が進む。


シンタロさん、マイムちゃん、私は

カナヤンとちゃんまりが素敵な時間を
過ごせるよう、縁の下の力持ちと化す。



「最後に新郎新婦のキッスです!」

「キッス!キッス!キッス!」

恥ずかしそうにキスをする2人。

湧き上がる歓声と拍手。


「ちゃんまり、綺麗よ!」

「ありがとうマイムちゃん!」


真っ白のクラシカルなドレスを着た
ちゃんまりは本当に綺麗で


いいなあ、私も
もう一回結婚式したいなあ

なんて、羨望の眼差しで見つめてしまう。




「おめでとう!」

「幸せにね!」


祝福の声と大きな拍手に包まれ、
嬉しそうに見つめ合う2人。

私も力一杯拍手をする。


感動してウルウルしてしまった。

マイムちゃんは鼻水垂らして号泣していた。





「よーし、次は三次会だ!」

「うおおお呑むぞ呑むぞー!」

「カナヤン、朝まで付き合えよ!」

「おっしゃ!呑んだるわい!」


大騒ぎで店を出ていく様子を
微笑ましく見ていると

流れに逆らって誰かが入ってきた。



「お客様、本日は貸切で…
ってサエキョちゃんじゃん」

うわーーーーまた来たの。


「貸切?聞いてない」

ムスッとした顔でシンタロさんを
睨みつけるサエキョ。


「ドアの貼り紙、読んだかな?」

「読んでない」

シンタロさんをはねのけて
お構いなしにズカズカと入ってきて

ドスンとカウンター席に座った。



なんですかこの子は。
我儘が過ぎるでしょ。子供か?

しかもマイムちゃんがいる時に…



「サエキョ、あんた帰りなさいよ」

「はぁ?」

うわーさっそく戦闘開始だ。


さっきまでのホッコリ空間が
氷点下40度の世界に変わる。


「貸切だって言ってんだろ?」

「もう誰もいないじゃん」

「後片付けとかあんだよ」

「勝手に片付けてりゃいーじゃん。
アタシは勝手に呑んでるから」


頑として帰る気がないサエキョに
マイムちゃん、ガチ切れ。

「邪魔なんだよ!ガキは帰って寝ろ!」

「はあ!?ババアは永眠しろ!」


睨み合う2人の間を

「はいはい、うるさいからねー」

シンタロさんが割って入る。


「ちょっとシンタロ!さっさと
コイツをつまみ出しなさいよ!」

「アタシは特別だからいーんだよ!」

「は?なにが特別なの?」


うわーやめてやめて言わないで


「シンタロとヤったもーん!」


うわーーーーーーーー



「は?は?なにそれ!!」

マイムちゃんの顔が
みるみるうちに真っ赤になる。

これはもう止められないぞ…


「シンタロ、どーゆーこと!?」

「ん?そのまんまだけど」

こんな修羅場なのに涼しい顔でいられる
シンタロさんってどうかしてるぜ!


「このヤリチソ!!」

シンタロさんに平手打ちをするつもりで
振り上げたマイムちゃんの手は

ヒラリと身をかわされて

バチーン!!

サエキョの顔に命中した。


「痛えーんだよ!くっそババア!」

取っ組み合いの大喧嘩。


「やめ…やめなって!」

隙を見て2人の隙間に手を挟むと

「グレ子はすっこんでろ!」

マイムちゃんにドーンと押され
サエキョと一緒に
ゴロゴロゴロとフロアに転がった。


ガッ!!

嫌な音がしてその方向を見ると


「痛ぁ……」

額からダラリと血を流す
サエキョの姿があった。