もう子供のころの記憶。
雷鳴を思わせる太鼓の轟音。
合いの手の声は咆哮だと思っていた。
ずっと本物だと信じていた金の龍。
そばを疾りすぎる時の風圧。
胸で聞こえていた地響き。
ずっと憧れだった。
「いつかはあの中の一人になる」
当時、その土地に生まれた
すべての少年たちの
共通の想い。
子供心にそのとき刷り込まれた
かっこよさの基準が
のちにその理想が、
のちにその理想が、
かつて少年だった祭り人たちを
いまだ少年たらしめているのかもしれない、
いまだ少年たらしめているのかもしれない、
今ではもう遠い日なのに。
祭りを愛した多くのヒトにとって
その祭りという行為は
「自分とはかくあるべき」とする美意識のようなものを
芽生えさせ育む、
ある意味育ての親のようなものであったのだろうかと
いまではそう思う。
だとすると、
私に子ができるときは
そんなときがあるとするなら
また還るべきなのだろう。
かつて私を育んだ
あの祭りのある土地に。
そして
また彼も思うのだ