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だが、どれだけ親に心配をかけたくない、子どもを苦しめたくない、と思ったところで、この病気をなかったことにすることだけは出来ない。
それだけは、もし出来れば私が一番そうしたくとも、結局のところ出来はしないことなのだ。
だからこそ、「《そのとき》までどのようにして生きてゆくか」がもっとも重大になるのだろうと思うのだか――
小説家中島梓、別名栗本薫は、2007年12月に下部胆管癌の疑いで切除手術を受けました。
しかし、翌年4月の定期健診で、肝臓への転移が発見されました。
「このまま何も治療しなければ、余命は1年あるかないかだろう」という診断が下りました。
これまで長いあいだ、いろいろな人に気兼ねしたり、遠慮したりして、本当に思ったことを言わないこともあったし、いろいろありました。今度は本当に本音だけを書いてゆきたいな。
本書は、中島梓の意思のもと、2008年9月から2009年5月に永眠するまで書いた日記です。
がん闘病記であり、最晩年に感じたこり考えたりしたことの記録です。
昨年若い友人をがんで亡くしました。
がんの闘病日記、重い内容です。
しかし、それをあまり感じさせない著者の心と文章の力を感じます。
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がんで亡くなるのは、がん細胞そのもののためで亡くなるのではありません。
がんのために、臓器不全になり、だんだん食べ物を受け付けなくなるなどで体が衰弱し、さらに臓器不全になって亡くなるそうです。
少しずつ病状が進んでいく様子が克明に綴られています。
毎日毎日、どこか痛かったり異変があったりお腹が張ったりしているうちに、それが1年4ヶ月もつづくと、もうすっかり疲れて、へこたれてきてしまった。瞬間的な激痛にはそれなりに耐えたり対処もできるけれども、叫ぶほどでもないがしょっちゅうどこかが痛んでいる、という状態は本当に始末が悪いし、気持ちをくじく。
なるべくさいごまで書いておきたいなでも、書き続けます。
パソコンの操作も出来なくなってしまい、ペンを持ち、死の10日前まで書いています。
花と音楽と綺麗な布地や美しいもので、華奢で可愛らしいこまごまとしたつくりもの、低く優しい穏やかなやりとり、静かな雨の音やさんさんと美しい日光にかこまれて、眠るように死んでゆけたら、と思ったりする。
誰もが通る死への道、その景色は自分にはどのように見えるのでしょう。
結局、がんにならない限り、
私はいろいろなことを諦めたり、依存症から抜け出したり、トラウマから自由になったりすることが出来なかったんだな・・・・・
目次
プロローグ
2008年9月
2008年10月
2008年11月
2008年12月
2009年1月
2009年2月
2009年3月
2009年4月
2009年5月