それでも、日本人は「戦争」を選んだ | フォトリーディング読書感想文

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それでも、日本人は「戦争」を選んだ/加藤陽子

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9.11のアメリカは戦争の相手を打ち負かすという感覚よりは、国内社会の法を犯した邪悪な犯罪者を取り締まる、というスタンスでした。
このアメリカと似たようなことが、かつて日本でも起きていたのです。
何のことかわかりますか。
なぜリンカーンは「人民の、人民による、人民のための」と、演説しなければならなかったのか。
こんな質問から序章ははじまります。
歴史にはそうなるべき理由があるのです。


本本書は、東京大学大学院教授である著者が、神奈川県の私立・栄光学園の中高生に、日本の近代の戦争と歴史についての講義をまとめたものです。


「自分が作戦計画の立案者であったなら?」
「自分が満州移民として送り出される立場であったなら?」
「中国であったなら?」
「列強諸国であったなら?」


学生生徒を戦時の当事者の視点に立たせて、考えさせています。
『13日間で「名文」を書けるようになる方法』と同じく、生徒といっしょに講義を受けている感じがします。
惹きこまれる内容です。



爆弾日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変、日中戦争、太平洋戦争、
日本は、日清戦争から太平洋戦争まで、10年ごとに大きな戦争をやってきました。


「なぜ戦争は起こるのか?」
「なぜこんなに頻繁に戦争をしなければなかなかったのか?」
「なぜ日本は勝ち目のない太平洋戦争をはじめてしまったか?」


F-15時々の戦争の根源的な特徴、時々の戦争が地域や国家や社会に与えた影響や変化を簡潔に、明快にまとめています。


ヴィルベルヴィント著者の専門は、1930年代の外交と軍事です。
世界が急速に広がり、そして対立した時代です。
各国の思想と利害が複雑に絡まって時代をつくっています。
歴史の見方、考え方、奥深さを教えられます。


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戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり、敵対する国家の、憲法に対する攻撃、というかたちをとる。
――ルソー


愚かなために、あるいは邪悪なために、人びとは正しい原理を適用し得なかったというのではなく、原理そのものが間違っていたか、適用できないものであったのだ。
――カー(ケンブリッジ大学歴史学教授)


歴史家は特殊の中に普遍を見ている。


重要な決定を下す際に、結果的に正しい決定を下せる可能性が高い人というのは、広い範囲の過去の出来事が、真実に近い解釈に関連づけられて、より多く頭に入っている人。


「満州事変」を日本人は、「戦争」と思っていなかった、「革命」だと解釈していた。


太平洋戦争での米英との絶対的な差を、日本の当局はとくに国民に隠そうとしなかった。むしろ物的な国力の差を克服するのが大和魂なのだということで、精神力を強調するために国力の差異を強調すらしていました。


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自衛隊ドイツ軍の捕虜となったアメリカ兵の死亡率は1.2%でした。
日本軍の捕虜となったアメリカ兵の死亡率は37.3%だったそうです。
日本軍の捕虜の扱い方のひどさは突出していました。


おにぎりこのような日本軍の体質は国民生活にも通底していました。
敗戦間近の国民の摂取カロリーは、1933年時点の6割に落ちていました。
それに比べるとドイツは、なんと1~2割増えていたそうです。
日本は農民を無秩序に兵隊に徴兵してしまっていたため、食物が栽培できませんでした。
国民の食料よりも、兵隊を増やすことしか考えてなかったのです。


命日本軍は命を粗末に扱ってきました。
今の政治は“人の命”を大切にしているのでしょうか?


¥“経済という戦争”に勝つことが最優先で、“国民”や“人の命”は二の次ですね。




目次

序章 日本近現代史を考える
1章  日清戦争 —「侵略・被侵略」では見えてこないもの
2章  日露戦争 —朝鮮か満州か、それが問題
3章  第一次世界大戦 —日本が抱いた主観的な挫折
4章  満州事変と日中戦争 —日本切腹、中国介錯論
5章  太平洋戦争 —戦死者の死に場所を教えられなかった国


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