「編集者という病い」 | フォトリーディング読書感想文

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フォトリーディングで毎日2冊以上の本を読み、毎日1冊以上の書評ブログを書きます。  「読む読書」⇒「アウトプットする読書」 さまざまなジャンルの本を読み、ポイントを押さえわかりやすくお伝えします。

編集者という病い/見城 徹

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僕ら編集者は、精神を商品にして売るといういかがわしい行為に耽っている。
だからこそ、自分の人生の全体重をかけた言葉が相手の胸に届かなければならない。

編集者というのは「無から有を作り出す。人の精神という無形の目に見えないものから本という商品を作り出し、そこから収益を上げる」という仕事です。
人の精神から商品をつくるということは、編集者の生き様が厳しく問われるのです。


本書は、幻冬舎の創業者であり、社長である著者が書く、編集という仕事を通して生きた半生の総決算が書かれています。
著者の膨大な数々の記事や、インタビュー、文章の中からら選び、編集した内容です。


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高橋三千綱と毎夜毎夜飲み歩く。
中上健二、立花和平、つかこうへいたちと知り合い、表現者の魔物に触れていたいと思うようなる。
角川春樹社長が、「この人は爆発的に売れる作家になるから」と言われ、最初に担当したのが四百万部の大ベストセラーになった『人間の証明』の森村誠一。
村上龍の才能を見抜き、デビュー作の発売前に会いに行く。
坂本龍一との出会いと、親交、そしてアカデミー賞受賞。
大ベストセラー郷ひろみ『ダディ』への思いと、その思い切った戦略。
石原裕次郎に『弟』の執筆依頼。


毎日毎日、ずっと精神のデスマッチを続けてきた。
少なくとも百人ぐらいの表現者リストが頭の中に四六時中あった。
まさに「病い」と「闘い」の日々・・・・


圧巻は、『野生時代』という文芸誌編集長時代に出会った尾崎豊。
「自分が狂わない限り、尾崎とは付き合えない」
翻弄され、見城も自殺するしかないと追い詰められる。
しかし、彼から学びを得る。
のたうち回るのは苦しくて面倒くさいことだから。
でも慣れてきたらどんどん腐り始めていくんだよね。
僕はその頃三十六、七になっていたから、いっぱい付着してきていたわけだよ、アカが、ゴミが、アブラが、そして自惚れが。
尾崎にのたうち回されたことによって、それが完全にとれたと思う。

角川をやめて幻冬舎を作った原点がここにあった。

幻冬舎創立「闘争宣言」です。
私たちは文芸が衰退しているのではなく、文芸を編集する側が衰退しているのだと考えています。
すなわち、大手寡占の状態の中で、出版社は作者と読者の両方の胸の鼓動や息遣いに耳を澄ますことなく本を送り出しているのではないか?
血を流し、葛藤し、餓えている作者と読者のひとりびとりに対してあまりにもヌクヌクと生活しているのではないか?・・・・・・
もう一度ゼロに戻したい。
もう一度ひとつ間違えれば地獄へいく薄氷を踏んでみたい。
そんな想いのなかで幻冬舎は出発しました。


夢中で一気に読みきりました。

「情熱をもって生きることは、こんなふうに生きることだよ」
そう語りかける強い力がある言葉の連続です。

熱い、厚い一冊です。



目次

序章 悲惨の港を目指して―暗闇のなかでの跳躍
第1章 SOUL OF AUTHOR
第2章 SOUL OF EDITOR
第3章 SOUL OF PUBLISHER
オンリー・イエスタディ あとがきに代えて----