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日本の自殺者は11年続けて3万人を越えています。
先進国の中で、自殺率は1位です。
自殺者の約18倍の自殺未遂者が存在するそうです。
日本では実に60万人もの未遂者がいるわけです。
すごい数です。
そして、皮肉にも、長寿を誇るこの国において、早世の要因として、自殺が関与しています。
世代別で死因統計を見てみると、自殺はどの世代間でも死亡原因の3位以内にランキングされている。
特に、20代、30代では死亡原因の1位となっています。
長生きできない人の多くが、自殺でなくなっているのです。
交通死亡事故に対する対策は、様々なことが行われています。安全運転教育、交通安全対策法制定、交通安全基本計画に基づく中長期の計画が進められました。
シートベルト着用の義務化、違反の罰則の強化、自動車メーカーによる安全な自動車作りへの工夫もあって、交通事故死亡者数は年々着実に減り続けている。
国による包括的な対策、膨大な経費とマンパワーが投入されている。
結果として、1万3千人いた交通事故死亡者数は6000人を切ったのです。
現在は、「世界一安全な交通の実現を目指して」第8次交通安全基本計画が実施されています。
ここに至るまでには、国や業界でどれだけの予算がつぎ込まれたのか、想像もつかない。
これに対して、自殺対策はどうでしょう。街頭で「自殺事故防止キャンペーン」をいった活動やアナウンスを見聞きしたことがあるだろうか。
実際に自殺対策は動き出していますが、力強いメッセージは聞こえてきません。
自殺対策に初めて予算がついたのは平成13年、わずか225億円です。
年間3万人の自殺者で割ると、一人当たりたったの7万5千円。
このように、日本の自殺対策への取り組みはかなり遅れています。行き当たりばったりの対策しかとられていません。
自殺そのものがタブー視されがちなために正しい知識を学べる機会も少ないのです。
自殺は難しい問題です。
でも、こんなに多くの人が亡くなっているのに手をつけない。
日本が社会というものを考えていない証拠です。
本書は自殺はどうして起きるのか、どうすれば予防できるのか、自殺防止に取り組む精神科医が、自殺の実態を明らかにしています。
自殺行動を抑制する予防因子として以下のことがあげられます。● 社会や家族、人とのつながり
● 充実した社会生活・家族機能・学業・仕事
● 生きがい
● 適当な余暇
● ストレスや困難な状況に対応できるような柔軟性や対処スキルを持っている
● 周囲の支援体制
● 健康保健サービスを受けやすい環境
● 自殺予防に資する情報が得られやすい環境
● 周辺地域や所属する組織がこころの健康や精神障害についての関心・理解をもっている
今の社会が自殺を生んでいる大きな要因です。
この本もすごくいい本でした。
※「強いられる死」
自殺は国や地域としてのあり方を考える契機になります。人と人のつながりを大切にする社会、
困った人を助ける社会、
経済弱者が受け止められる社会、
健康でゆとりを持って子供を育てられる社会、
そして、自殺予防活動が浸透して、自殺者がなくなる社会が望まれます。
結局、自殺対策とは、人が自殺に傾かないように対策を講じることなのです。
つまりは地域の保健と医療・福祉・教育をどう考え、どう整えていくのかに行き着きます。
人と人とのつながりを再構築していくことに他なりません。
目次
第1章 自殺とは何か
第2章 自殺の本質
第3章 自殺問題の現状
第4章 自殺とマス・メディア
第5章 自殺と精神疾患
第6章 精神生物学からみた自殺行動
第7章 自殺予防の方法論
第8章 さまざまな自殺対策
第9章 自殺に傾く人への対応
第10章 今後の課題、そして望まれること
強いられる死 自殺者三万人超の実相/斎藤 貴男

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