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「戦争は他の手段を持ってする政治の継続にほかならぬ」
――クラウゼビッツ「戦争論」
ナポレオンは軍事の天才でした。
すべての情報を一手に握り、自分が直接命令を下していたのです。
しかし、それは優れたリーダーシップによる、個人の強さでした。
優れたリーダーが戦場を直接掌握している範囲の強さだったのです。
その範囲を超えたところはナポレオンの限界だったのです。
フランス軍はナポレオンの下でしか勝てない軍隊になっていたのに対して、
プロイセン同盟軍はそれに対処するノウハウを見出したのです。
それが「参謀本部」という組織なのです。
近代的大組織の原型は「ドイツ参謀本部」なのです。
本書では、近代ヨーロッパ戦争史を通じて、「ドイツ参謀本部」の誕生から、ヒットラーによる消滅までの内容が書かれています。
戦争の勝利には、歴史をはっきり区切るような軍事上の発見・革新がありました。
参謀本部の誕生は、一つの組織上の工夫なので、人目につきにくく見落とされがちです。
しかし、その歴史的重要性は鉄砲の発明などには劣らないものであったのです。
参謀本部は、組織として働く人間の運命を見るための重宝な鏡となります。
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「ドイツ参謀本部」はグナイゼナウが参謀長になったときに完成されました。
彼の戦争計画でナポレオンを破ったのです。
■「参謀本部」方針
1、 共同責任
2、 全体の把握
3、 命令の伝達
4、 現場の裁量に任せる
1、 共同責任
みんなバラバラでは勝てません。
戦争は強い一体感が必要です。
司令官の決定に対して参謀長は共同責任を負うという原則を打ち出しました。
これは司令官と参謀長の一体感を作るためのものであったことは明らかである。
2、全体の把握
自分の師団全体が何を考えているのかを知ることは重要です。
意見がどうしても一致しないときは、参謀長は、自分の不満なり疑惑なりを直接、参謀総長に伝える特別の道を開きました。
これによって軍の首脳は各兵団の把握を確実に出来るようになったのである。
3、命令の伝達
命令は早く、正確に伝わる必要があります。
戦争における命令がともすれば明確さを欠き、その曖昧さのために勝敗が左右されることが多いことに注目しました。
命令が常に明確であり、所定の形式が完全に守られ、しかも迅速に伝えられて連絡は絶対に確実であるようにするためのノウハウを工夫した。
4、現場の裁量に任せる
戦闘においては臨機の手段が重要です。
中央からの指令は概略を定めるにとどめ、細かい肉付けは戦場担当の各司令官の裁量に任せる方法を編み出したのです。
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「参謀本部」という組織は、軍事上の分野にとどまっていません。
ビジネスの世界、あらゆる大規模組織に見られるテクノストラクチュアの構造、シンクタンクの先駆的形態を作ったのです。
「戦争とは敵を屈服せしめて、自己の意思を実現するために用いられる暴力行為である」
――クラウゼビッツ「戦争論」
戦争という暴力行為にはいかなる限界もありません。
その戦争から導き出されたシンクタンクという組織。
「経済は戦争だ」と言われます。
では、経済に限界はないのでしょうか?
経済、自国の限界を無理矢理広げるアメリカ式資本主義。
それによる「リーマンショック」と大不況。
そこから抜け出すためには、
「戦争」という切り口からではない、「新しい参謀本部」が必要です。
目次
1章 近代組織の鑑‐ドイツ参謀本部
フリートリッヒ大王が制限戦争時代に残した遺産
「教訓の宝庫」としてのドイツ参謀本部
ヨーロッパの陸戦史、
四つの時代区分
第2章 かくて「頭脳集団」は誕生した
ナポレオンを挫折させたプロイセン参謀本部の実力
プロイセン軍の動脈硬化
どん底に落とされたプロイセン
第3章 哲学こそが、勝敗を決める
世界史を変えたクラウゼヴィッツの天才的洞察
改革思想の余燼(1)—ボイエン
改革思想の余燼(2)—グロルマン
第4章 名参謀・モルトケの時代
「無敵ドイツ」を創りあげた男の秘密とは何か
文学的素養と文学者的外見を持った軍人
侍従武官から参謀総長へ
第5章 「ドイツの悲劇」は、なぜ起きたか
ドイツ参謀本部が内包した“唯一の欠点”
リーダーなきスタッフの悲劇
シュリーフェン・プラン