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著者: マルク・レビンソン
出版社:日経BP社
価格: 2800円
発売日:2007年1月22日
☆☆☆☆☆
世界を変えたのは「箱」の発明だった
■輸送効率の劇的な向上
コンテナが出現する前の世界では、モノを輸送するのは実に金のかかることだった。
中国は世界の工場ではなかった。カンザス州のど真ん中でブラジルの靴を買ったり、メキシコの掃除機を選んだりすることなど想像もつかなかった。フランスのデザイナーがトルコやベトナムで服を縫製させるのも、ワイオミングで育った牛を日本人がすき焼きにするのことも考えられなかった。
コンテナの登場で、この3つが改善され、モノの輸送は大幅に安くなった。
・輸送費用、船に荷物を積み込む時、陸に下ろす時の費用の減少
・時間の節約
・正確性の向上
■新しい産業として
「海運業とは船を運航する産業ではなく、貨物を運ぶ産業である」
それを見抜いた、トラック輸送業のマルコム・マクリーンを中心に輸送業界、労働組合、港、荷主、政府と次々に難題を解決していく。
■コンテナが変えた3つ
①輸送技術の変化がもたらした影響
コンテナ輸送が蒸気船や鉄道や航空機に劣らぬ大きな影響を貿易や経済の発展に与えた。
②イノベーションの重要性
イノベーションによって資本や労働者をどれほど効率的に使い、より多くのものやサービスを生み出せるか、を実現した。
③輸送コストと経済地理学との関係性
他のコストより大幅に輸送コストが下がると、製造業は地元から拡大し、その行き着く先はグローバリゼーションという大潮流になった。
■ベトナムと日本
コンテナの価値を実証するには、本物の戦争すら必要だった。
貨物を運ぶこの革命的なアイデアを証明したのは、あのベトナム戦争であった。
1969年初めのベトナムには54万人の兵士がいた。
この巨大な軍隊に物資を補給することはコンテナなしでは不可能であった。
「機械仕掛けの神ーヘリコプター全史」でも書いたが、戦争が発達を促すのは、皮肉なものである。
ベトナムから帰りは空のコンテナがほどんどである。
帰りに何か運べば、それはすべて利益になる。
日本の産業界がこのコンテナに目をつけるのは当然である。
日本の高度成長もコンテナに支えられていたのである。
■総評
「イノベーションは最終的にはそれが最も適した用途に応用されるが、初期ではうまく適応できない」
どのクレーンにも対応できるように金具を企画する、といったごく簡単に解決できそうな問題さえ、数年を要した。専門家や先駆者でさえ、多くの方法、方向を繰り返し誤っている。
一つの産業が興り、拡大して行くために、乗り越える困難や障害が数え切れないほど多いことに驚いた。
コンテナは世界経済の発展とグローバリゼーションに欠くことのできない産業である。
経済の発展には、コンテナのような、産業と産業をつなぐものの果たす役割がとても大きい。
つまり、高価なパソコンがあっても、それを活かせるソフトがあって、そのソフトを使いこなせる能力がないと、役に立たない。
そんな当たり前のことを再認識させられた。
ビジネス構築の教科書と呼べる、深く、広い、内容であった。
目次
第一章 最初の航海
第二章 埠頭
第三章 トラック野郎
第四章 システム
第五章 ニューヨーク対ニュージャージー
第六章 労働組合
第七章 規格
第八章 飛躍
第九章 ベトナム
第一〇章 港湾
第一一章 浮沈
第一二章 巨大化
第一三章 荷主
第一四章 コンテナの未来