書評 「音楽は自由にする」 坂本龍一 | フォトリーディング読書感想文

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音楽は自由にする/坂本龍一

¥1,785
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著者: 坂本龍一
出版社:新潮社   
価格: 1700円
発売日:2009年2月25日
☆☆☆☆


坂本龍一が書いた、57年間の半生のすべてを自らの言葉で語った、初の自伝である。

図書館で借りてきた本で、なぜか、あまり読み気がしなかった。
ちょうど清志郎が亡くなり、著者とのユニットの部分だけでも読もうかなと読み始めた。

供時代、音楽にふれること、学生、ビートルズ、バッハ、そして舞台に上がる、音楽での生活、YMO、ラストエンペラー、9.11のこと、その後の音楽・・・・

読みやすい、スイスイ進む。あっという間に読んだ。

小気味よく、興味深い内容であった。

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音楽の限界、音楽の力(p18)
表現といるのは結局、他者が理解できる形、他者と共有できるような形でないと成立しないものです。だからどうしても、抽象化というか、共同化というか、そういう過程が必要になる。
すると、個的な体験、痛みや喜びは抜けていかざるを得ない。そこには絶対的な限界があり、どうにもならない欠損感がある。
でも、そういう限界と引き換えに、全く別の国、別の世界の人が一緒に同じように出来る何かへの通路が出来る。言語も、音楽も、文化も、そういうものなんじゃないかと思います。


ラストエンペラーの作曲の依頼「今すぐ、音楽を作れ」(p176)
プロデューサーのジェレミーからでした。「龍一『ラストエンペラー』の音楽やってくれ」と言う。しかも「一週間で」、、、、、
とりあえすレコード屋に走って、20巻ぐらいある中国音楽のアンソロジーを購入、丸一日かけて全部聴きました。そして、時代とシチュエーションを考慮して、この楽器は使うべきだと言うものをい選び、中国人演奏家を捜します。
曲を書き、平行して録音も進め、中国音楽の演奏家に弾いてもらってそれも録音する。3人のオーケストレーターと共に1週間それを繰り返しました。毎日、ほとんど徹夜でした。


グリーンランドで考えたこと(p243)
人間が自然を守る、という言い方があります、、、、、当然敗者となるのは人間です。困るのは人間で、自然は困らない。
自然の大きさ、強さから見れば、人間というのは本当に取るに足らない、小さな存在だということを、氷と水の世界で過ごす間、絶えず感じられ続けた。そして、人間はもういなくなってもいいのかも知れない、とも思った。

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世界が変った日。

9.11テロの時にニューヨーク滞在中。
間近で遭遇、夢中で写真を撮った。

テロとその再発の恐怖との戦い。

アメリカの覇権が引き起こしたテロ。
しかし、自分が得てきたものはほとんどがアメリカ経由。
アメリカとその文化の中で生きてきた自らの存在全部を否定したい気持ち・・・・。


「自分はなぜこの時代の、この日本と呼ばれる土地に生まれたのか、そこに何らかの意味があるのかないのか、単なる偶然なのか・・・・」

それらを克服するのはやはり音楽であった。
そして、始めた新しい仕事、社会奉仕活動についても書かれている。


「・・・考えてみると、自ら進んで始めたことなんて、たぶんあんまりないんですよ。うしろ向きの人生ですよ」
と、自分の人生、自分自身のことを言っているが、周りから求められ、必要とされる人である。
与えられた才能と環境を生きる人である。

素直な文体に、生き方と人柄があらわれている内容であった。