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著者: 村上龍
出版社:幻冬舎
価格: 1200円
発売日:2009年3月25日
☆☆☆☆☆
村上龍の最新作。
雑誌「GOETHE(ゲーテ)」連載に書下ろし4編を加え、全38編のエッセイである。
装丁も、本のサイズ少し違う、新しい。
「無趣味のすすめ」
とらえどころのない題だが、
読めば、さすが村上龍、である。
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無趣味のすすめ(p9)
趣味の世界には、自分を脅かすものがない代わりに、人生を揺るがすような出会いも発見もない。
心を震わせ、精神をエクスパンドするような、失望も歓喜も興奮もない。
真の達成感や充実感は、多大なコストとリスクと危機感を伴った作業にあり、常に失意や絶望と隣り合わせに存在している。
つまり、それらはわたしたちの「仕事」のなかにしかない。
効率化とゆとり(p160)
効率化によって生産性を上げることで、日本社会は貧困と無知から脱することができた。
ゆとりなどといる曖昧で情緒的な概念に依存することなく、自らの仕事において「何のために、何を効率化するのか」を厳密に考え検証することのほうが重要だと思う。
決断する力(p181)
「決断」といる言葉の語源は、治水のため堰を切って大量の水を放流することらしい。
放流すると、必ずいくつかの村々が水に呑まれてしまう。
だから為政者は、一帯の治水のために犠牲となる村々を選ばなければならなかった。
何かを選び取るかという問いは、何を犠牲にするかという問いである。
私たちは決断を迫られるとき「何を犠牲にするのか」「何を捨てるのか」を問われている。
最優先事項を把握している場合、決断には法則がある。
もっともやっかいで、もっともむずかしく、最も面倒な選択肢が正解ということだ。
決定権を持つポストを与えられて喜んでいる上司を信用してはいけない。
優秀で困難さをわかっている人ほど、責任と決定権を与えられたときには、憂鬱になるはずだからだ。
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10年ぐらい前、村上龍の著作はほとんど読んだ。
作品として、僕が一番読んでいる作家である。
特にエッセイが好きである。
ものごとに対する視点のとり方と解釈の仕方に惹かれる。
人が見えない仕組み、内面を見つめる。
曖昧を嫌い、真実を突いてくる。
考えを明確にあらわす。
あいかわらず、見事でした。