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著者: テロと救済の原理主義
出版社:新潮選書
価格: 1100円
発売日:2007年6月20日
☆☆☆☆☆
『宗教はテロに利用されている』
宗教問題とテロの本質に迫る力作評論である。
イスラーム教は一神教であり、他宗教を否定する。
教義には解釈の仕方は時代によっても違い、必ずしもイスラームの教義が悪であるのではない。
その教義の悪に変えてしまうようなことが、起きている。
アメリカを中心にする西洋社会は圧倒的な軍事、経済、文化のパワーを持っている。
利益、効率を求め、それ以外を否定するグローバリゼーション化。
それによる価値観の単一化、一方的な価値観の押し付け、、、、
テロの原因は「資本主義の非論理性」である。
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テロの要因
自爆テロの急増(p187)
宗教が自爆テロ根本原因ではなく、ほとんどの自爆テロ攻撃に共通するのは世俗的かつ政治的な目的がある、ということだ。宗教はテロ組織が構成員を募ったり、その他の政治目的を達成するための道具として使われている。
利他主義の逆説(p194)
テロリストたちは社会との連帯感、一体感を強く抱いており、彼らは死と引き換えに家族や同胞がおかれた状況を改善しようと意識している、、、、自爆テロを実行した者たちを社会のために殉じたものとして人々の記憶のとどめる儀式を執り行うことにより、社会との関係を強固なものにする。
尊厳変質社会(p198)
従来の社会を支えてきた地縁、血縁、共同体に対する忠誠心、連帯感、一体感が、近代化、グローバリゼーションに伴う社会の構造変化の中で解体しつつある、、、、
グローバルで急速な開発が多くの人々の誇りを奪い、伝統社会の構造を揺るがし、伝統社会の共同体の輪から放り出された人々は、今までに親しみのない異なる価値、生活様式、文化に直面する。そうした余裕のない状況にあって、人々は他者に対する寛容性を失い、異文化に対する敵意を募らせる。
愛と憎しみの悪循環(p211)
イスラーム原理主義者オサマ・ビンラディンは、西洋近代化が生み出した超大国米国を憎悪しつつ、胸の奥底に劣等感という倒錯した感情を抱いている。一方、グローバリゼーションの覇者米国はイスラーム原理主義者を米国の安全保障を脅かす「敵」と認定しつつ、無意識のうちに彼らの「大義」と行動に嫉妬を覚えている。
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人が人らしく生きるには、「誇り」が必要である。
アメリカはすべてを支配しようとしているわけではないであろう。
だが、他国に対する尊敬の念は欠けている。
まるで、「俺のやり方を学べ」と言っているように。
アメリカに対抗するために敵である彼らの文明を学ばざるを得なくなったという屈辱は、「西洋によって我々は貶められている」という怨念となった。
「他人を思いやる気持ちを持ちなさい。自分ひとりで生きているのではないから」
子供の頃によく親に言われた。
資本主義は「富の不平等」だけではなく、
他者を思いやる気持ちを失い、「誇りの不平等」を引き起こしている。