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著者:ローワン・ジャイコブセン
出版社:文芸春秋
価格:1.905円
発売日:2009年1月30日
★★★★☆ 考える(簡単そうで奥が深い)
★★★★★ 問題提起(地球とは)
★★★★☆ 読み応え(厚い厚い)
目次
ハチが消えた
あなたのその朝食は
集団としての知性
何かがおかしい
犯人を追う
夢の農薬
おかされた巣箱を見る
人間の経済に組み込まれた
複合汚染
ロシアのミツバチは「復元力」をもつ
もし世界に花がなかったら?
実りなき秋
初霜
『もし、世界にハチがいなくなったら?』
この本の内容
2007年春までに北半球から、四分の一のハチが消えた。
その謎の集団死は、やがて果実の受粉を移動養蜂に頼る農業に大打撃をあたえていく。
携帯電話の電磁波?ウイルス?農薬?
科学者たちの必死の追求の果てに見えてきたのは?
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この本の3ポイント
1)ミツバチ(花粉媒介者)は命と命をつないでいる大切な存在である。
2)ミツバチ大量死の原因は経済システムである
3)生き延びるためには「復元力」が必要である。
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ミツバチの恩恵について(p31)
人間は、思っているよりはるかに野生の花粉媒介者の恩恵をこうむっている。昆虫による受粉が行われなければ、土壌を保持し肥沃にする未開墾地の植物は枯れはて、周辺の生態系に重大な影響が及ぶだろう。森や牧場に生えている草や低木や樹木のほとんどは、そこに自生する昆虫に頼って繁殖を繰り返している。このような植物がなくなれば、多くの野生動物や家畜の餌もなくなってしまう。
ミツバチのストレスは(p183)
実はそれは、人間のものとほとんど変わらない、、、、
数週間ごとに新しいところに連れて行かれ、糖度の高いシロップで気合を入れられ、殺虫剤と抗生剤を投与され、寄生虫に襲われ、外来種の病原菌にさらされてほとんどぼろぼろになっている、、、、ストレス要因が累積すると、被害は、免疫系の抑制、生殖作用の抑制、寿命の短縮、正常なコロニーの発展の阻害という形をとって次々と現れだす。
わたしたちが口にするすべての食物は(p236)
工業化されたシステムの一部である。その驚異的な生産高は、多くの資源が引きも切らさずに供給されるという前提に立脚している。地下水、ミツバチ、効果のある殺虫剤、出稼ぎ労働者、安い石油などはほんの一例だ。
現代の経済システムを疑う(p229)
問題は、農場が現代的な経済システムに吸収されてしまったことにある。その結果、農業経営者は今、会社経営者のように物事を考え行動するように迫られている。事業は、無限に成長を続けることを前提としている、、、、、生物システムの世界では、無限の成長を続けるものなど存在しない、、、、
農業経営者がより多くの収穫を土地から搾り取ることを可能にしてきた技術革新のほとんどは、土壌の長期的な健康を犠牲にすることで成し遂げられたものだ。100年以上にもわたって築かれてきた資源が吸い取られた。
生き延びるために必要なこと(p234)
「復元力」とは、システムに何か問題が生じたときにそれから立ち直る能力に重点を置く生態系のあらたな分野だ。復元力のある養蜂場は、問題がウイルスだろうが寄生虫だろうが旱魃であろうが、そこから立ち直って正常な暮らしを営み続けることができる。
チームとしての取り組みが必要(p279)
養蜂家だけでなく、昆虫学者も自然保護活動家も一緒になって奇跡を起こさなければならない。私たちがしなければならないのは、土地の酷使をやめること、私たちの文化に養蜂と農業の場所再び組み入れること、そして昆虫を仲間として迎え入れることだ。もしそうしなければ、果樹園だけではなく、私たちのあらゆる努力も実を結ばなくなってしまう。
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題名に魅かれてこの本を開いた。
この本は単なるハチの病気のレポートではない。
問題と原因は幾重にも重なっている。それを丁寧に一つひとつ示している。
奥にある大きな問題を提起している。
極めて優れた「環境問題」の書である。
私たちの体は、病気を一掃するために胃腸器官の中身を体の中身を体の外に排出した後、再び立ち直る。
生命が生き残るために必要なものは、この「復元力」である。
「復元力」はあるのであろうか?
答えは書かれていない。
この本の原題は“Fruitless Fall”つまり“実りのない秋”である。
人間は"実り“を求めすぎている。
「環境問題」というのは、人間が住みやすい、人間に心地よい「環境」である。
真の意味での「環境」とは、人間が住みにくい、人間に心地が悪いものなのではないか。
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この本から感じたこと
“実り”がないと“枯れる”しかない