強烈な甘みと酸味。まさに「樹の実」と呼ぶにふさわしい、野生の味。
そして、人気があり、とにかく手に入れるのが難しい。
奇跡のリンゴと呼ばれている。
農薬、肥料を使わないリンゴの栽培をする、常識以前の問題に挑戦した記録です。
今の農業、自然のあり方を、人の生き方をも問う必読の一冊です。
フォトリーディングしました。
自分はリンゴを栽培するために、春先から9月の収穫期までに10数回の農薬散布を行っていた。
そうしなければ、病気や虫からリンゴを守ることは出来ない。
「本当にそうなのだろうか?」
始めてからの試行錯誤、周りの人からは、狂人、変人扱い。
夜眠っていても、「もう諦めろ」という声にたたき起こされる。
必ず出来るという自分と、絶対に出来ないという自分。
追い詰められて、死を決意して入った、山の中で、リンゴの木の幻を見る。
なぜ、農薬をかけていないのに、この木はこんなに葉をつけているのか。
森の木々は農薬など必要としていないではないか。
自然の植物は、農薬の助けなど借りずに育つことを、何故不思議に思わなかったのだろう。
決定的に違うのは、土だった。土が全くの別物だったのだ。
農薬の肥料もない土ですくすくと育っている。
雑草が生え放題で、地面は足が沈みぐらいふかふかの土。
土は生命力を持っている。
探し続けた答えを見つけた。
木村さんが過ごし苦労の年月は、結局のところ自分の心でリンゴの木と向かい合えるようになるために必要な時間だったのかもしれない。
「人間に出来ることなんて、そんなにたいしたことじゃないんだ。みんなは、木村は良くがんばったって言うけどさ、私じゃない、リンゴの木が頑張ったんだよ。人間はどんなに頑張っても自分ではリンゴの花ひとつも咲かせることが出来ないんだよ。それが、わからなかったんだよ。自分がリンゴを作っていると思い込んでいたの。自分がリンゴの木を管理しているんだとな。でも、私に出来ることは、リンゴの木の手伝いでしかないんだよ。失敗に失敗を重ねて、そのことがようやくわかった。」
農薬を使うのは、収穫量を増やすとか、農作業の手間を省くとか、あるいは作物の見かけをよくするとか、、、、
人間が自分達の、都合に合わせるように変えてきた自然。
環境問題もそのひとつであろう。
「自然の手伝いをして、その恵みを分けてもらう。それが農業の本当の姿なんだよ。そうあるべき農業の姿だな。ということはさ、いつまでもこのやり方を続けることは出来ないということだよ。」
どんなに科学が進んでも、人間は自然から離れて生きていくことは出来ない。
人間そのものが、自然の産物だから。
「リンゴの木が、リンゴの木だけで生きれないようにな、人間もさ、一人で生きているわけではない。私もな、自分ひとりで生きているようなつもりでいたけどよ、周りで支えてくれる人がいなかったら、とてもここまでやってこられなかった。」
心に届く言葉であり、大きな課題です。
奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録/石川 拓治

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