協力 沢田サタ 山川出版社 2500円(税別)
沢田教一さんの写真を始めて見たのは、高校生の時でした。書店で何気なく手にとった講談社文庫『泥まみれの死 ベトナム戦争写真集』、なんとも言いようのないパワーに圧倒されました。ところが440円が払えない…なんとか購入できたのは数日後でした。
その後、ノンフィクション『ライカでグッドバイ カメラマン沢田教一が撃たれた日』青木冨貴子(文春文庫)を読んだのはかなり後のことでした。今でも本棚にある2冊の文庫本の奥付けを見ると、両方とも1985年3月の刊行。あの日、何故もう一冊に気がつかなかったのだろう?
今回の写真集の白眉は、サタ夫人宅に眠っていた数々の未発表写真です。既知の沢田さんの写真というとモノクロがほとんどですが、実はカラーの写真も多数。また戦場ではなくベトナムの市民を撮った写真、日本で撮影した写真等も収録。沢田さんの写真の新たな魅力に触れられる一冊です。
「敵が向こうから撃ってくる、沢田君はそこで敵の写真を撮らないでね、すーっと立って、敵に背中を向けて、味方を撮影するんですよ。」
平敷安常『サイゴン ハートブレーク・ホテル』より
女性や子供の写真も好んで撮っていた
1950年代後半、ベトナムに赴く以前の写真