こころ33


「ねっ・・結構大事件でしょ・・」


香織は目を丸くして僕の顔を見つめた。


「確かに乾君とは子供の頃の知り合いだけど・・」


「香織が言うように男の戦いなんでしょ・・」


「僕には関係ないね」


僕はそう言うとその場を立ち去ろうとした・・


「えぇ・・こころ・・そんな冷たい事言わないでよ」


香織は直ぐに僕の後を追って来た。


「みんなにあなたを連れてくるって言ってしまったし・・」


「ちょっと・・それどう言う事・・」


僕は振り向くと香織に詰め寄った。


すると香織は少し困った顔で・・


「実はね・・話すと長くなるんだけど・・」


「隣のクラスの沙織は知ってるわよね」


「あの生徒会の書記やってる小野寺沙織の事・・」


「そう・・その沙織」


「なんかいつも難しそうな本ばかり読んでて・・・高飛車な子でしょ・・」


「僕は余り好きじゃない・・」


「この間なんか先生じゃないのにこころさん廊下は走らずに静に歩きましょだって・・1年生で書記やってるからって生意気よ」


僕はこぶしを作って宙にパンチをして見せたて。


「そんなに言わないでよ・・あの子とは中学の時塾が一緒だったんだけど」


「いい子だよ・・それに沙織のお父さんは家のお父さんの会社の上司だし・・」


「えぇぇ・・香織・・まさかそんな理由であの子に気を使って付き合ってるわけ・・」


僕がそう言うと香織は少し困ったような顔で下を俯いた。


「あっ・・ちょっと言い過ぎちゃった・・ごめんなさい」


僕は香織の顔を覗き込んで両手を合わせた。


「それで・・その小野寺沙織がどうしたって言うのよ・・」


すると香織は顔を上げるとまた急に元気を取り戻し


「あのね・・こころのさぁ・・いつもの霊感をちょっと借りたいのよ」


香織は僕の手を握ると気持ち悪いほどの作り笑いをして見せた。


香織がこういう顔をして頼み事をする時はろくな事がなかった。


それに香織は今まで僕が他の人の唇を読んでいろんな事を言い当てたのを僕に霊感があると勘違いしていたのだった。


僕の秘密・・「読唇術」の事は今のところあの担任の田村先生しか知らないのだ。


「それで僕にどうしろって言うの・・」


「えへへ・・こころちゃん。ありがとう・・それでこそ親友よ・・」


「とにかく今から一緒に生徒会室に行って欲しいの・・」


「詳しい事はそこで・・みんな待ってるし・・・」


みんなって・・沙織だけじゃないの・・・


どうも僕は昔から職員室の次に生徒会室ってところが苦手なんた。


それに僕の霊感とその乾君の決闘・・大事件とどういう関係があるのよ・・


僕がそんな事を考えている間に香織は僕の手を引っ張ってあっという間に


僕を二階の生徒会室へ連れて行った。


「つづく」