というわけで僕らは今、夜の学校の正門前にいる訳で・・・
2月の午後9時ともなると辺りは真っ暗。
マフラーにダウンジャケットを着込んでいても寒いのなんのって・・
吐く息の白さだけが暗闇に5つまるで人魂のように浮かびあがっていた。
「みんな家の方は大丈夫」
頬を真っ赤にしてひろ子ちゃんの声も寒さに少し震えていた。
「夕食を済ませて受験勉強するから部屋には入ってこないで
って言って裏口からそっと抜け出してきたわ」
玲子さんは手袋をした両手に白い息を吐きかけながら言った。
「僕も爺やに今日は体調が悪いから早めに寝るからって言って
抜け出してきたよ」
「僕のベットには枕とクッションが身代わりとして寝てくれているよ」
みつるくんは悪戯っぽい子供のように皆を見ると髪をかき上げて
微笑んでみせた。
「俺んちはラーメン屋なんで深夜2時まではてんやわんや・・
俺一人家にいなくても誰も気づきはしないし・・
店の手伝いは小遣いやって弟にたのんできたし・・・」
寛太君はダウンジャケットで着膨れて2倍になった体を揺すりながら
ピースサインをしてみせた。
「君は・・大丈夫なの」
ひろ子ちゃんは僕に向って白い息を吐きかけながら言った。
「ぼ・・僕なら大丈夫です。母は僕が子供の頃亡くなっていて今は
父と姉と僕の3人暮らしなんですが・・
僕の家はちょっと複雑な家庭なので・・
この時間はいつも僕一人なんです・・僕のほうは大丈夫です。」
僕は思いっきり明るい顔でみんなに微笑むとポンと胸を叩いて見せた。
「ごめんね。そうだったんだ・・」
ひろ子ちゃんは悪い事聞いてごめんねという感じで
僕の顔をじっと見つめていた。
「そう言うひろ子は大丈夫なのか」
寛太君がそう言うと
「私はお兄ちゃんには事情を話して来たから・・
両親には旨いこと言ってくれてると思うわ」
「そんなことよりこれで心置きなく調査にかかれるわ」
「みんな集中して行くわよ」
ひろ子ちゃんがそう言うとみんなは彼女を中心に円陣を組んだ。
そして右手を円の中心に向けて翳しお互いの手の上に重ねた。
僕も見様見真似でそれに続いた。
「謎の言葉は まやかしの門。まやかしの門は 真実の扉。
解けない謎もこころで読めば 真実の扉は開かれる。
我ら・・マザー久グースの慈愛のもとに名のもとに・・・」
みんなはこの言葉を唱えるとお互いの顔を見合った。
そんなみんなの真剣な顔とはじめての体験のせいか
僕は何故か武者震いをしていた。 「つつ゜く」
