理想と現実 | danielakeith

danielakeith

danielakeith

臨床と基礎研究とではやっている人の考え方にだいぶ違いが生じるなあ、と思うことがあります。

今目の前にいる死にそうな患者を目にし、そこに死ぬことが確実な人がいれば、臓器を役立てたいと思うでしょう。

基礎分野で生命について深く考えていると、どうも哲学に近いところまでいってしまって、だんだん人の死について懐疑的になる気がします。

養老孟司や福岡伸一など読んでいると、結局のところ生命はよくわからないのであって、人間が脳死を人の死と決めるなんてことはおこがましい、という結論になります。

現場では「そんなこと言ったって、じゃあ、この救えるはずの患者をどうするんだよ」ということなので、まあ歩み寄る余地は極めて乏しいです。

この期に及んでもオバマは原発推進の旗を降ろさないようだが、現状でこの手の発言をするというのは、一国の指導者としては随分な勇気です。

ここでも理想論と現実論とがせめぎあいます。

原発は危ないからといってじゃあ今の生活・経済水準を維持するためには電力は必要なんだからやめるわけにはいかないじゃないか代替案があるのか化石燃料は限られてるし二酸化炭素は出るし風力太陽地熱どれも微々たるものしかできないし金がかかるじゃないか、という話になります。

近ごろは原発やめても何とかなるはずだという論議も出てきたようだけど、経済的発展が国是となっている状態では、またぞろ電気は必要だという議論が出てきそうで、それもアヤシイものだと思います。