いやぁ〜人間ってのは面白いもんで。
「人は一生で二度、恋に落ちるらしいですよ」なんて話を聞くとね、なんだかちょっとロマンがあるような、いやいや待てよと、妙に現実的な匂いもする。
こないだ、檀家のAさんがね、ぽつりと言うんです。
「住職、うちの嫁さんとは仲は悪くないんですよ。いや、むしろいい方なんです。でもねぇ…“ドキドキ”はもうないんですわ」
で、ちょっと間を置いてから、
「これって、終わりなんですかね?」
いやいや、終わりってあんた、まだ晩ごはん一緒に食べとるやないか、と思うんですが(笑)
でもね、この“ドキドキがない問題”って、結構みんな抱えてるんですよ。
最初はね、LINEが来ただけで嬉しい。
会えるだけで楽しい。
顔見たらテンション上がる。
それがね、いつの間にか
「ゴミ出し忘れてるよ」
「なんでそれそこに置くの」
に変わる(笑)
で、人は思うわけです。
「こんなはずじゃなかった」
「もっと違う誰かとなら…」
——ほら、ここで二回目の恋、出番です。
でもね、ここでちょっとズレるんです。
人は「恋が終わった」と思ってるけど、
実は「恋の形が変わった」だけなんです。
情熱はね、そりゃ薄れますよ。
だってずっと燃えてたら、家ごと燃え尽きますから(笑)
代わりに何が残るかっていうと、
一緒にいることの“当たり前”。
これがね、地味なんだけど、一番重たい。
ところが人間は、この“当たり前”に飽きる。
いや、飽きるっていうか、
ありがたさを感じなくなる。
で、どうなるか。
もう一度“ドキドキ”を探しにいく。
Aさんもね、言ってましたよ。
「いや〜最近、職場にちょっといい人がいてね」
おいおい来たぞ、と(笑)
でもそのあと、こんなことも言うんです。
「でもね、その人と結婚したら、結局また同じことになる気もするんですよ」
これ、気づいてるんですよね。
二回目の恋が悪いわけじゃない。
人間そういうもんです。
ただね——
ここがちょっと面白いところで。
人は「新しい恋」にドキドキしてるんじゃない。
「新しい自分」にドキドキしてるんです。
誰かに優しくされて、
誰かに必要とされて、
「まだ自分いけるやん」って思える。
その感覚が、気持ちいい。
だから恋をしてるようで、
実は“自分に酔ってる”だけってことも、ある。
でね。
その“新しい自分”に飽きたら、
また次を探す。
これ、繰り返しです。
相手が変わってるようで、
やってること、ずっと同じ。
Aさんね、最後にこう言いました。
「結局、今の嫁さんと笑ってる時間が一番長いんですよね」
そりゃそうだ、人生の半分一緒におるんだから(笑)
でもその一言の中にね、
全部入ってる気がするんです。
ドキドキは減る。
でも、笑える時間は増える
これを「物足りない」と見るか、
「深くなった」と見るか。
いやぁ、人間ってのは面白いもんで。
“足りないもの”ばっかり見てると、
“もうあるもの”が見えなくなる。
で、また恋を探す。
まあ、人間ってのは、そういうもんですな。
……で済ませてるうちは、
同じ恋を、何回でもやり直すんやけどな。
