依釈段•曇鸞讃

本師曇鸞梁天子 常向鸞処菩薩礼
三蔵流支授浄教 焚焼仙経帰楽邦
天親菩薩論註解 報土因果顕誓願
往還回向由他力 正定之因唯信心
惑染凡夫信心発 証知生死即涅槃
必至無量光明土 諸有衆生皆普化


みなさんこんばんは、蓮夏一照です。

今日は 曇鸞(どんらん)大師のお話。

「曇鸞」と聞いて「あぁ、あの仙人を引退して仏に転職した人ね!」と返せる方は──

日本全国におそらく12人くらいでしょう。(※当社調べ)

でも、この人の生涯がまた、めちゃくちゃ面白い。なんせ──

仙術の“元プロ”が、仏教にガチ

惚れして愛用してた仙経を全部

焼いちゃった。


そんな激しめの改宗ドラマなんです。

◆1. まずは導入:天子から「菩薩扱い」される男

曇鸞は中国・北魏〜北斉あたりの高僧で、

あまりの人気ぶりに、

「曇鸞さま、あれはもう菩薩や」


と皇帝にまで言わしめた。

いわゆる“無課金で菩薩ランクに到達した男”。朝イチで皇帝が訪ねてきては、「おはようございます、菩薩さま」と頭を下げる。いやもう、菩薩って朝からそんな挨拶されるんや。


◆2. 仙人ランナー曇鸞、謎の転職

若い頃の曇鸞は、仙術の研究者。

長生きしたい。とにかく長生きしたい。

千年ぐらいはいたい。

そんなことを真剣に研究していた。

ところが、ある日インド帰りの三蔵法師・流支(るし)さんがやってきて、曇鸞にこう言うんです。

「君、仙術で何とかなる思てる

 けど、それじゃ不死は無理

 やで。本当に死を超えるには、

 仏教や。」


その瞬間、曇鸞の心に雷が落ちる。

「え、仙術よりすごい不死があるんですか?」そして彼は決断する。

「仙経、全部焼こう。」


いや、極端!でもその真剣さが曇鸞の魅力。ここ、ツッコミどころ満載ですよ。「いや普通さ、もうちょい迷ってから燃やそ?せめてPDFにして保管するとか。」と思うんですが、曇鸞は迷わない。

人生の舵をきるときは全力。

◆3. 曇鸞は、親鸞聖人の“心の師匠”

そして彼が本格的に書き始めたのが、

『浄土論註』これは親鸞聖人が

「浄土教の決定打」と呼んだほどの名著。

その中で曇鸞はこう説きます。


◆4. 往・還の回向は他力に由る

曇鸞の核心はここ。

往生も、還相も、私の修行に

よって得るんやない。如来の

大悲が“回向”として働くんや。


と断言する。つまり、

「努力すれば報われる」ではなく、

「如来が先に報いを決めている

 から、あとは受け取るだけ」


という構造。これが「他力」の決定的な意味。曇鸞は、天親菩薩の論を註解しながら、その“因果の構造”を明確にしていきました。


◆5. 信心発すれば、生死即涅槃

これは親鸞も最重要の言葉。

「信心が決まった瞬間、生死の道のただ中にいながら涅槃が約束される」つまり──

“まだ汚れた服を着てても、

 すでにクリーニング完了扱い”


みたいなもん。

身体は煩悩まみれやのに、如来の光明に照らされて涅槃の道に乗ってる。

だから曇鸞は

「生死即涅槃」

と、ちょっと哲学者みたいなことを言うわけです。


◆6. 還相はあなたが戻るんやなくて、如来が働くんや

そして記事の最後、「還相」。

一般に誤解されやすいんですが──

還相とは、

“私が修行して他者を助けに戻る”


のではなく、

“如来自身の大悲が衆生を救う

働きとして回向される”


この構造を曇鸞はハッキリ示します。

だから、

報土に往生したら、自然と

衆生利益の働きが起きる。

自分でやるんやない。

如来の大悲が働くだけや。


これが親鸞聖人の還相理解の土台なんですね。


◆7. 最後に

・曇鸞は仙人→仏教へ“転職”した熱い人

・皇帝から「菩薩扱い」されていた

・仙経を全部燃やしたド級の本気

・往相も還相も“如来の働き”と説く

・信心決定で生死即涅槃

・還相は“如来の働きが私を通して現れること”

つまり一言で言えば──

「曇鸞は、人生の全部を“如来の

 大悲”に丸投げした先駆者」


だからこそ、

親鸞聖人が深く敬ったのでしょう。